貴乃花親方(37=元横綱)が6日、協会内部の非公開情報の漏出に戸惑いをみせた。4日の臨時理事会で受理されなかった退職届の件や、会議内部での発言など、非公開の場でのことが公になる現状に疑問を呈した。一方、理事を続けていくことを明言し、開催まで苦難が続く名古屋場所の成功を誓った。

 前日は多くを語らなかった貴乃花親方が、心境を明かした。「テレビでも(退職願騒動の報道を)やっているけど、情報操作されているような感じがある。誰がどう言ったとか、まったく言っていないことが、テレビで言われている。公式発表されないことが出るのは、どういうことなのか…」。困惑の表情をみせた。

 同親方によると、武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)がしたとされる発言で、聞き覚えのないものが一部で報じられているという。どのコメントなのかは明言しなかったが「内部的に出ているなら、情報操作に思えて仕方ない」と指摘。貴乃花グループの大嶽親方(元関脇貴闘力)、阿武松親方(元関脇益荒雄)が処分を受け、自身の退職願騒動もあり、神経をとがらせていた。

 ただし、今は退職の意思はなく「理事ですからね。現状では、理事の仕事を全うすることが大役です」と言った。野球賭博騒動でチケットの売れ行きが落ちているが「これだけ(騒動が)あれば、そうなるでしょう。でも、開催が決まったので、少しでもお客さんに喜んでもらえる相撲を取らないといけない」と気を引き締めた。

 一本気な性格で、自身を取り巻く不正確な情報は、看過できない。ゆえに、弟子の育成方針はぶれない。「心身とも強く、礼儀正しく相撲を取ってくれるようしつけている。常日ごろ、道義の通ることをやってほしいと言ってます」。不祥事が続く今だからこそ、何事もまっすぐに。土俵の外のことも、中のことも、貴乃花親方らしく訴えた。【佐々木一郎】