NPB初のスプラトゥーン王者は新時代を担う10代が勝ち取った。

天才の筆が踊った。DeNA代表のハイパービームが絶対王者ソフトバンク代表のGGBOYZに完勝した。

3勝先取の「e日本シリーズ」。近接ブキの「パブロ」使いのテルミ(17)がガンガン攻め込んだ。中盤で圧倒的な対面力を発揮。スプラの王と呼ばれるたいじやダイナモン、やまみっちー、えとなをダウンさせた。後方からはミルクレープ(16)のチャージャーが針の穴を通すコントロールで相手を射抜くなど、常に重圧をかけ続けて、制圧し続けた。

2勝1敗と王手をかけた4戦目では残り15秒で3ダウンさせ、一気に相手陣地を塗りつぶして完勝。スプラトゥーン甲子園2連覇、世界王者のGGBOYZを寄せ付けなかった。

精神面の成長が勝利のカギだった。NPB大会の前に行われた甲子園ではオンライン予選で敗退。キャプテンのけいとぅーん(13)は「なぜ負けたかを考えたら、緊張していた。何万人に見られてガチガチだった」と振り返れば、テルミも「落ち着きました。『ピンチ』がつくと、突っ込んでしまって負け筋になっていた」と焦りを抑えることに取り組んでいた。

若い感性も魅力だった。テルミは首からマントのようにタオルを垂らし、長袖は少し手にかかる「萌え(もえ)袖」。「ダサイのがいいんです」と笑う姿と「パブロ・ピカソ」を連想させるブキはぴったり。底知れない爆発力を秘めた、オーラがあった。

平均年齢14・75歳の若さも勢いになった。GGBOYZに対しても「練習試合では勝ち越していたので『勝つぞー!』みたいな感じでした」(けいとぅーん)と気負いはなし。4人が役割をきっちりと果たし、中盤以降の盤面を抑え込んだ。

新王者となり、今度は追われる立場となる。MVPに輝いたテルミは「誰がかかってきても僕が勝ちます。パブロを使い続けます」とぶち上げた。