夏の甲子園に29年ぶり2度目の出場を決めた青森・三沢商ナインの壮行式が28日、同校体育館で行われた。全員地元出身のナインが私立の強豪を破り、青森の公立校として19年ぶりの甲子園出場。学校はもちろん三沢市全体が大舞台へ向けて熱く盛り上がっている。ナインは31日、出発する。

 壮行式には全校生徒560人が出席。鎌本憲主将(3年)が「甲子園ではどんな状況でも笑顔を忘れず、楽しんでプレーしてきたい」とあいさつした。池田敏校長は「青森大会は相手の流れに巻き込まれず、燃える心と冷静な心でプレーした」とナインをたたえた。

 生徒を代表して生徒会の新山将平副会長(3年)が「この夏は一生忘れられない。甲子園でもっと忘れられない夏にしてください。皆さんは生きる伝説です」とナインを激励。続いて甲子園応援の練習を全員で行い、久々の甲子園出場ならではの初々しさをみせた。

 人口約4万1000人の三沢市に高校は三沢商と三沢の2校だけ。三沢は68年夏から3季連続甲子園出場。69年夏は松山商(愛媛)と球史に残る決勝再試合を演じて準優勝した。そのイメージが強いが、三沢商も伝統校。町の2校だけの高校が、ともに夏の甲子園2回出場は珍しい。

 ライバル同士の三沢商と三沢だが、OB定期戦を行うなど交流もしている。69年夏甲子園で三沢が準優勝した時、4番三塁手だった桃井久男さん(63)は「三沢商は公立でも、地元の子でも甲子園に行けることを証明してくれた。青森大会のような戦いをすれば甲子園でも勝っていける」とエールを送る。

 三沢商野球部OB会の阿部賢一会長(58)は「29年ぶりの甲子園出場にOBたちは大感激、大感謝です」と喜ぶ。OBは約600人。「ナインが甲子園で安心して戦えるよう支援していく。前回の甲子園メンバー7人が地元に残っており、前回の恩返しにと大車輪で動いています」と物心両面でバックアップする。

 三沢市役所1階ロビーには、市民が応援メッセージを自由に書き込める横断幕が27日から設置され、いずれ三沢商に贈られる。三沢準優勝から46年、三沢商の前回出場から29年。三沢の町がこの夏、熱く燃える。【北村宏平】