第97回全国高校野球選手権(6日開幕・甲子園)の組み合わせ抽選会が行われ、全国最多36度目の出場となる南北海道代表の北海は、開幕試合で鹿児島実(鹿児島)との対戦が決まった。高校野球100年という節目の夏。全国屈指の伝統を誇る北の名門が、甲子園球場で大会が開催されるようになった1924年(大13)以来、91年ぶりの開幕戦勝利を狙う。

 “凶運”ではなく、間違いなく“強運”だ。甲子園に導かれるように開幕試合のクジを引き当てた北海の鎌仲純平主将(3年)は、あきれ顔のナインの顔を見た途端「どうも、すみませんでした!」と45度の一礼で、わびた。チームの誰もが「クジ運が悪い」と口をそろえる名門の主将は、予備抽選で1番を引き当て、さらに49校中、最初にクジを引いたのに、誰もが避けたがっていた開幕試合。抽選直前、顔見知りだった早実の加藤雅樹主将(3年)に「多分(開幕戦を)引くよ」と予告した通りになり「みんなには悪いけど、自分にとってはいつも通りです」とぶぜんとした。

 開会式後の試合のため、長時間の暑さに耐えられるよう、万全の体調で迎えることが重要になる。特に今年は、北海道から順番に入場行進するため、炎天下での待機時間が長くなる。独特の緊張感、そして大観衆など不安要素は尽きないが、嫌なことばかりではない。夏の高校野球が始まって、ちょうど100年。OBの平川敦監督(44)は「記念すべき大会で開幕試合が出来るのは、誇りに思う」と感慨深げだ。開幕試合のマウンドに立つ可能性が出てきたエース渡辺幹理(かいり、3年)は「甲子園で(高校野球の)第1球を投げたのも、北海中の投手と聞いている。運命って、あるのかな」。甲子園で最初に大会が開催された24年、開幕試合で北海中は静岡中(静岡)に勝利。以来、開幕戦は4連敗中だが、100周年の夏、再び開幕戦白星への挑戦権を得た。

 開幕日は、くしくも鎌仲主将の18歳の誕生日だ。中学3年時にはリトルシニア日本選抜で米国遠征中に本塁打を放つなど「今まで、いい誕生日しか迎えたことがない」と胸を張る。超プロ級、157キロのスイングスピードを誇る左の4番打者は「本塁打を打てたらいいけど、まずはチームに貢献できる一打が打てたら」と、頼もしい。さっそく初戦の相手、鹿児島実のデータをチェックし「全員(投手は)右投げですね」とイメージを膨らませた。

 夏の大会では全国最多出場とはいえ、チームは8強入りした94年を最後に、4大会連続で初戦敗退中。「歴史の重みを感じながらプレーして、勝ちたい」という平川監督の願いを、強運の4番がかなえる。【中島宙恵】

 ◆北海道勢の甲子園開幕戦 夏は08年駒大岩見沢が下関工に勝利して以来、今年の北海で15度目(9校)、通算4勝10敗。北海は40年以来、75年ぶり7度目。59年の南北北海道分離以降、南北海道勢は初の開幕戦となる。

 センバツでは08年駒大岩見沢まで過去13度(11校)。北海は2度あり、60年は開幕戦で那覇(沖縄)に4-1で勝ち、ベスト4に進出した。