龍谷(佐賀)の夏の甲子園初勝利はならなかった。秋田商左腕成田翔の前に16三振を喫し、3安打1得点。身長160センチの2年生左腕池田智浩が毎回安打を許しながらも粘投したが、8回1死二、三塁のピンチでスクイズを外し、2死をとった後に連打を許し、力尽きた。

 涙が止まらなかった。背番号10はうつむいたまま「スクイズを外してホッとしてしまった。隙を見せてポンポンとやられた。自分の力不足。来年はエースナンバーをつけて春、夏と戻ってきたい」と、声をふりしぼった。

 春の九州王者。佐賀大会では接戦を逆転し、勝ち上がってきた。徳山誠一朗監督(36)はフルスイングが信条の打線に「ワクワク打線」と名付けたが、この日は最後まで成田翔を攻略できなかった。「すべて向こうが上でした」。9人中7人の左打者が打席のベース寄りいっぱいに立ち、外角狙い一本に絞ったが、落差のあるスライダーを最後まで打てなかった。

 池田は目を腫らし、言った。「直球のキレと変化球の精度を上げて、成田投手を超えるような投手になって帰ってきたい」。甲子園の土は「来年戻ってくるから」と持ち帰らなかった。「ワクワクさせてくれる場所だった」甲子園。来年は必ず、背番号1をつけて勝利をつかむ。【福岡吉央】