東北の絆で、センバツ優勝投手を撃破する。第95回全国高校野球選手権記念大会(8日開幕)に出場する仙台育英(宮城)が6日、兵庫・西宮市内で練習を行った。前日5日の組み合わせ抽選会で、センバツ優勝校の浦和学院(埼玉)との対戦が決定。上林誠知主将(3年)は、浦和学院の左腕エース小島和哉(2年)と対戦経験がある聖光学院(福島)・園部聡内野手(3年)から、メールで「小島対策」を伝授されたことを明かした。

 センバツ王者との対戦が決まり会場が最も沸いた5日の抽選会後、仙台育英・上林の携帯電話に1通のメールが届いた。「大丈夫なの?

 笑」。送信者は、ともにプロから注目される聖光学院の主砲・園部だった。昨夏、連絡先を交換した球友からのメールに上林は「いつも向こうからくるんですよ」といたずらっぽく笑った。

 やりとりは続いた。聖光学院は6月に浦和学院と練習試合を実施。センバツ優勝左腕の小島と対峙(たいじ)した園部は「左バッターにもインコース(の直球)がくるよ。高めの見極めができればいいぞ」と経験をもとに攻略のヒントを送った。

 小島は、今夏の埼玉大会で完全試合を達成した今大会屈指の左腕。伸びのある直球で右打者の内角をえぐる「クロスファイア」が武器だ。左打者は角度をつけた外角が脅威となる。上林も完全試合の映像を動画サイトで見たが「右打者には内角が基本だけど(映像の中に)左打者が少なくて」と情報収集に困っていただけに、園部からの「左打者にも内角がくる」は、これ以上ないアドバイスになった。

 この日は、通常(18・44メートル)よりも打撃投手を4~5メートル前に出し、内外角に投げ分けてくる小島を想定して打ち込んだ。佐々木順一朗監督(53)は「イメージはつくらないといけない」と、今日7日から左利きの打撃投手で練習を行う意向だ。園部と「一緒に頑張ろう」と誓い合った上林は「直球待ちのスライダー対応でいけると思う」と早くも小島攻略のイメージを膨らませている。東北の“仲間”の力も借りながら、難敵を撃破する。【今井恵太】