<全国高校野球選手権:日川4-2箕島>◇8日◇1回戦

 29年ぶり出場の箕島(和歌山)は、尾藤強監督(44)の甲子園初勝利はならず。

 箕島のユニホームで甲子園初采配を振った尾藤監督は勝利できず、涙した。エース須佐見将馬(3年)が初回にソロ本塁打を浴びるなど計3本のアーチを許し降板した。9回裏2死二塁で打席には9番権城秀胤捕手(3年)。打球は歓声とともにライト方向へ大きく弧を描いた。同点本塁打に期待が高まったが、右翼手のグラブへ。箕島の夏が終わった。

 「おやじは甲子園のどっかにおるやろなと思って試合した。最後のライトフライがホームランにならなかったのは、おやじが風を吹かせたからかな。『甘くないわ』って」

 持ち味の全員野球は出し切った。この日も、本塁打を許した須佐見に「大丈夫や」とみんなで声を掛けあった。尾藤監督は「何点差であろうとこの子たちは諦めなかった。精いっぱいよくやった」と成長を認めた。29年ぶりの聖地に「厳しいところ、でも楽しくて温かいところでした。29年以内には帰って来たいですね」。周囲の笑いを誘った時、尾藤スマイルが出た。【辻敦子】