<全国高校野球選手権:常総学院4-1仙台育英>◇15日◇2回戦

 常総学院(茨城)が、エース飯田晴海投手(3年)の1失点完投で優勝候補の仙台育英(宮城)を破り、優勝した03年以来の3回戦進出を決めた。飯田は1回戦の完封に続き、18回1失点と抜群の安定感で、勝利した。

 憧れのユニホームで躍動した。常総学院・飯田が昨秋明治神宮大会優勝校の仙台育英を相手に再三のピンチをしのいだ。「捕手が自分の投げたい球を要求してきてくれた。内、外をうまく投げ分けられた」。両打者への内角へのツーシームをみせながら外角へ逃げるスライダーと直球を有効に使った。5回には2死から連続四球などで満塁としたが、128キロのシンカーで二ゴロに切った。

 最大のピンチは中学3年時に茨城選抜でバッテリーを組んでいた女房に助けられた。4回無死一、三塁、右飛を吉成の好返球で本塁封殺した。7回からは吉成とバッテリーを組み、以降の安打は8回の本塁打1本のみ。息の合ったコンビをみせた。飯田は「相手打線は1~9番まで気をぬけなかったですが、守備に助けられました」。

 吉成とは深い縁がある。中学3年当時、吉成は既に常総学院入りを決めていた。飯田は進路を決める際、「あいつが行くなら自分も行きたい。またバッテリーを組みたい」と考えていた。憧れの学校はどんな練習をしているのか興味があった。母あづささん(38)と2人で常総学院グラウンド前に2日間立ち続けたこともあった。2日目にやっと当時監督だった木内幸男氏(82)に見つけてもらった。「制服姿の子がずっといるな」。飯田は「高崎中の飯田です。常総学院に入りたいです」と伝えた。木内氏との出会いだった。

 念願かない入学を果たした。いろんな思いを持って見つめていた常総学院グラウンド。今は憧れのユニホームに袖を通し、今大会18回1失点と活躍している。「自分はマウンドに立ったら絶対に降りない覚悟でいきます。最後の年、必ず優勝します」。次戦は福井商とベスト8をかけて戦う。03年以来の優勝へエースが再度勝利へ導く。【栗田尚樹】