<全国高校野球選手権:明徳義塾5-1大阪桐蔭>◇17日◇3回戦

 2年連続優勝を狙った大阪桐蔭・森友哉捕手(3年)は、明徳義塾(高知)に敗れた。

 一塁ベースを駆け抜けて仰いだ大観衆に、大阪桐蔭の森友は何を見たのだろう。4点を追う8回2死二塁。甲子園最後の打席は二塁ゴロだった。「情けないなと思いました。未熟やなと。期待に応えることができなかった」。9回、味方の攻撃を見ながら、森友は泣いていた。甲子園通算14試合でPL学園(大阪)清原和博の4割4分を上回る通算4割7分3厘、5本塁打、11打点。それでも自身を「未熟」と責めた。

 2回1死二、三塁で三塁にけん制悪送球。甲子園初失策で明徳義塾に追いつかれ、勝ち越しも許した。「(走者を刺して)流れを持ってきたかった」とうつむいた。右前打で出た初回はサインに応えて二盗を決めたが、自身の判断で敢行した三盗には失敗。「2点を取れば葛川が楽になると思った」とくちびるをかんだ。攻守ともに攻めたプレーが勝敗につながった。それだけチームの中心だった。

 この日甲子園に駆けつけた小学校時代の所属先「庭代台ビクトリー」の大川秀樹元監督(52)は「そのころから、みんなが森についていった。魅力的なんだろうね」と笑った。投手と捕手を兼任し、熱があっても練習を休まなかった。野球が好きだった。

 進路について「何も考えていません」と語るにとどめたが「親に恩返しをしたい。小柄でもやれる、という姿を見てもらいたい」と明かしたことがあった。ドラフト候補として秋を待つ。「高校野球は一番輝いている。人生で一番の青春でした」。心を強くする思い出を得て、18歳の甲子園に別れを告げた。【堀まどか】