エンゼルス大谷翔平投手(28)は遠征に行く先々で話題を集めるが、今季はその狂騒曲ぶりがさらにヒートアップしている。特に4月のニューヨーク遠征でヤンキースと対戦したときの騒ぎは大変なものだった。

一昨年のMVP大谷と、昨季MVPのヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手(31)の今季初競演。米専門テレビ局MLBネットワークが「大谷VSジャッジ・ウイーク」として何日も前から盛り上げ、試合中継だけでなく試合前の様子なども徹底カバーする熱の入れようだった。ジャッジは報道陣に囲まれ、大谷について「彼はメジャーのトップ打者でトップ投手。両方を併せ持ったオールラウンドの突出した存在だ。彼のような選手がフリーエージェントになるのをこれまで見たことがない。どこに行くのか楽しみだ」などと語っていた。

しかしこのシリーズ中、報道陣の間でショッキングなトラブルが起き、米メディア界で大きな話題になった。ジャッジが試合前のフィールドで子供たちにサインをしていたとき、インタビューをしようと横で待機していたスポーツ専門テレビ局ESPNのマーリー・リベラ記者が、別の女性リポーターに「割り込んでこないで」と怒り、下品で不適切な言葉を使い罵倒したのだ。そのときの一部始終の動画が一部の米メディアに流出し、リベラ記者は電撃的に解雇となった。罵倒された方の女性リポーターは、大谷を取材するため派遣されていたという。

米国でMLBを取材しているメディアの中で、リベラ記者は超有名人だった。最近の女性スポーツ記者ではおそらく最も成功し、昨年のオールスター戦・ホームランダービーでリポーターも務めるなど、花形だった。プエルトリコ生まれでスペイン語と英語のバイリンガルということもあり、中南米の大物選手ともツーカーの間柄で、それが余計に彼女のステータスを上げていた。それほど絶大な力を持った記者が、1つの失言であっけなく解雇されるのは実にショッキングだった。筆者も取材現場でリベラ記者とはよく顔を合わせており、気の強い女性という印象はあったが、気さくな人でもあった。

米スポーツの取材現場で長く取材してきたが、こんな騒動はそうあるわけではない。しかし世間の注目が集中するようなスター選手の対決や大イベントの試合などは、取材する方もやはりプレッシャーがかかり、こんなトラブルが起こることはある。大谷とジャッジの対決がいかにビッグイベントだったか、この騒動が物語っているのではないだろうか。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「水次祥子のMLBなう」)