今年も「ミッドサマークラシック」と呼ばれるMLBの夏の祭典、オールスターの季節がやってきた。テキサス州アーリントンのレンジャーズ本拠地球場でオールスターが開催されるのは1995年以来、約29年ぶりだ。日本人メジャー史にとって、29年前のその一戦は歴史的な日になった。ナ・リーグ先発投手を務めたのがメジャーデビューからたちまち旋風を巻き起こしたドジャース野茂英雄だったからだ。日本人がオールスターの先発を務めるのはもちろん史上初だったが、新人が務めるのはメジャー史上でわずか4人目という大抜てきとなり、日本だけでなく米国でも注目を集めた。ア・リーグの先発は通算303勝で殿堂入りした左腕ランディ・ジョンソン(当時マリナーズ)だったが、互いに2回を無失点、3奪三振と見応えのある投げ合いを披露。笑顔で楽しんでいた野茂の様子は今でも印象に残っている。
29年ぶりのアーリントンでナ・リーグの先発投手を務めるのがパイレーツの右腕ポール・スキーンズ(22)で、偶然にも29年ぶり史上5人目の新人抜てきだ。ちょうど1年前のドラフトで全体1位で指名されたスキーンズは、スピード昇格で今年5月11日にメジャーデビューし、100マイル(約161キロ)超えの剛速球を武器にここまで11試合で6勝0敗、防御率1・90と快進撃を続けている。オールスター戦ではヤンキースのアーロン・ジャッジ(32)やフアン・ソト(25)、オリオールズのガナー・ヘンダーソン(23)らア・リーグ強打者とどんな勝負を見せてくれるだろうか。
ところで筆者もアーリントンに取材にきている。米国に入国したのはちょうどトランプ前大統領が銃撃を受けたのと同じくらいの時間で、その影響かは分からないが入国審査がやけに厳しかった。これまでなら滞在中の行動をアバウトに答えても問題になることはなかったが、今回は米国滞在中の滞在先や行き先を細かく聞かれ、それを証明できるものを見せるように要求された。MLBのオールスターに行くことを証明するため、自分のスマホを渡し取材パスの承認メールを見せてようやく信用してもらった。
ロサンゼルスから入国し、国内便に乗り換えダラスに向かった。そういえば、ジョン・F・ケネディ大統領が銃撃されたのがダラスだったなと思いつつ空港に着陸したとき、無事に着いたことを祝って機内で拍手が起こった。2001年の同時多発テロの後にも同じように飛行機のランディングの際に拍手が起こる経験を何度かしたことがある。今回はやはり、トランプ氏銃撃という衝撃的な事件の影響かもしれない。
というわけで米国への取材の旅は出だしから波乱の幕開けだったが、久しぶりの開催で盛り上がるアーリントンのオールスターは楽しみ。ホームランダービーは15日(日本時間16日)、オールスター戦は16日(同17日)に行われる。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「水次祥子のMLBなう」)




