ブルージェイズの編成部門でアナリストとして活躍する加藤豪将さん(31)のキャリアセミナーに、取材に行ってきた。野球のキャリアだけでなく、ここまでの人生で自身の道をどう選択し歩んできたかという話をされていたのだが、個人的に印象に残ったのはヤンキースにドラフトで指名されたときの話だった。

加藤さんは2013年のドラフトでカリフォルニア州サンディエゴのランチョバーナード高からヤンキースに2巡目で指名を受け入団した。ヤンキースのドラフト同期には、1巡目指名であのアーロン・ジャッジ外野手(33)がおり、なかなか豊作の年だった。加藤さんはその当時を振り返り「5巡目でサンディエゴから18歳で来た選手がいて、その方が、俺はデレク・ジーターよりすごい選手なんだと1日目から言っていて、何という選手だという感じだったんです。僕より5年くらい先にメジャーに昇格して、活躍したんですけれどね」と話していた。

ジーターといえば歴代でもトップクラスのスーパースターで、当時から殿堂入り確実といわれていたほどの大物だ。そのジーターの名前を出して大口をたたく選手は一体誰なのかと思い、13年のヤンキースのドラフト選手を詳しく調べてみた。すると5巡目には該当する選手がいなかったのだが「もしかしてこの選手ではないか」と思われる選手が、4巡目にいた。

17年にヤンキースでデビューしたタイラー・ウェード内野手(31)だ。22年にはエンゼルスで大谷翔平投手(31=ドジャース)と同僚になり、大谷が「イケメン」と呼んだことから、日本のファンの間でもイケメンでおなじみとなった。昨季までの2年間はパドレスでプレーし、今季はレンジャーズとマイナー契約を結んでいる。21年にヤンキースで唯一100試合以上に出場して自己ベストの打率2割6分8厘をマークし、ここまでメジャーで9年プレー。通算成績は打率2割1分6厘、7本塁打、60打点、51盗塁だ。

メジャーという舞台で9年間生き残るだけでもすごいことだが、結果的にジーターにはだいぶん及ばない。ここで加藤さんが伝えたかったのは、米国ではそこまで自分に自信を持ち自己アピールするくらいでなければ成功しない、ということだ。日本では謙虚さが美徳という文化があるが、米国ではそれではうまくいかない。それは何も野球界だけではなく、一般社会でもそうだ。筆者は米国に長年住んだ経験があるが、いろんな人が自信満々でいろんなことを言うのが米国だと実感している。

というわけで、加藤さんのトークはとてもためになり、面白かった。今回は札幌市内でキャリアセミナーという形式で行われたのだが、幅広い年齢層の参加者が会場いっぱいに詰めかける大盛況だった。取材をセッティングをしてくださった主催のA-bank北海道さんに感謝します。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「水次祥子のMLBなう」)

ヤンキース時代のタイラー・ウェード(2019年4月22日撮影)
ヤンキース時代のタイラー・ウェード(2019年4月22日撮影)
ヤンキースにドラフト2巡目で指名された加藤豪将(右)は、体験練習でチームに合流し、イチローと笑顔で話す(2013年6月14日撮影)
ヤンキースにドラフト2巡目で指名された加藤豪将(右)は、体験練習でチームに合流し、イチローと笑顔で話す(2013年6月14日撮影)
ヤンキース一日体験入団し、快音を響かせるドラフト2巡目の加藤豪将。後方左は見つめるイチロー(2013年6月14日撮影)
ヤンキース一日体験入団し、快音を響かせるドラフト2巡目の加藤豪将。後方左は見つめるイチロー(2013年6月14日撮影)