MLBウインターミーティング(WM)が、1週間前に開催された。最近では珍しく、4日間の期間中にFA市場は激しく動いた。

ヤンキースと契約したゲリット・コール投手(29=アストロズFA)、ナショナルズと再契約したワールドシリーズMVP右腕スティーブン・ストラスバーグ投手(31)、エンゼルス入りしたアンソニー・レンドン内野手(29=ナショナルズFA)らが3日連続で次々に契約合意。3選手の契約額の総額は約896億円。現実離れした巨大な契約額がFA市場を騒がした。

3選手の代理人はいずれもスコット・ボラス氏だ。スーパーエージェントの手腕がまたしても発揮された。同氏は毎年、巨額契約を成立させる。お金ばかりがクローズアップされがちだが、交渉の担い手でもある代理人の業務は、実は多岐にわたって幅広い。

米国だけでなく多くの日本人エージェントもWM会場を訪れていた。今オフ、ダイヤモンドバックスからFAとなった平野佳寿投手(35)を米国でマネジメントする星野太志氏も、そのうちの1人だった。

同氏は今年1月上旬、米カリフォルニア州のサンディエゴ州立大学にいた。国際親善試合「車いすテニスグローバルチャレンジ」を開催。日本、カナダ、米国からジュニア選手を招待し、国別対抗戦を行った。もちろん、選手の競争意識を高めることも大事だが、若い世代の海外経験をサポートすることが主な目的だ。

参加メンバーは将来、パラリンピック出場を目指す有望な選手たちで、日本からは中高生4人が参加した。唯一の女子選手、吉川千尋さんは「今まで見たことのないショットがたくさんあった。英語も勉強できて、良い経験になりました」と異国の文化に触れ、うれしそうだった。同イベントは今年で2度目。来年の1月下旬にも開催する予定だという。

くしくも、今年のWMは同じサンディエゴで行われていた。スポーツ選手の代理人と言えば、どうしても巨額の契約を勝ち取るイメージがぬぐえない。メジャーリーグのFA市場で動く金額など派手な話題は興味もひく。だが、選手をマネジメントし、サポートするという意味ではさまざまな形があり、やり方がある。【斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)