5年連続地区優勝を目指すドジャースが、歴史的な快進撃を続けています。

 8月14日現在、117試合を終え、83勝34敗、貯金「49」。勝率7割9厘と、メジャー最高勝率で突き進んでいます。

 今季のド軍は、開幕直後の4月こそ14勝12敗と、やや不安定な戦いぶりでしたが、5月以降は抜群の成績を残し続けてきました。6月4日から3連敗したのを最後に、その後は2連敗がわずかに1回。その間、19カード連続で負け越していません(2連戦の1勝1敗、4連戦の2勝2敗のタイを含む)。6月下旬に10連勝したのをはじめ、7月には11連勝。世界一に輝いた1955年以来、62年ぶりにシーズンで2度の2ケタ連勝を達成するなど、数字を見るだけでも、その強さが伝わってきます。

 そんな快進撃もあり、最近ではシーズン最多勝利の更新に注目が集まっています。過去、メジャー年間最多勝利は、以下の2球団がマークしています。

 1906年 カブス 116勝36敗 勝率7割6分3厘

 2001年 マリナーズ 116勝46敗 勝率7割1分6厘

 今のド軍は、「114勝」ペース。7月末のトレード最終期限前にダルビッシュを補強するなど、チーム力がさらに充実したこともあり、記録更新は十分な可能です。

 もっとも、デーブ・ロバーツ監督は、「116勝」についてフラットな姿勢を見せています。

 「可能性があることは確か。記録のことは、選手も知っているし、もちろん達成できることは望ましい。ただ、今の我々は常に目の前の試合に集中することが重要だと思う」。

 というのも、公式戦で最多記録を更新したとしても、ポストシーズンで勝てる保証はありません。実際、06年カブスはワールドシリーズ(WS)で、01年マリナーズはア・リーグ優勝決定シリーズで敗退。いずれも世界一には届きませんでした。特にマリナーズの場合、当時、地区優勝決定後も記録更新を目指して最終戦まで戦い続けたことで「ポストシーズンで息切れした」と分析する声も聞かれました。

 ド軍の地区優勝はほぼ確実で、さらにポストシーズンの本拠地開幕権もWSまで確保できるはずです。

 あとは、年間最多勝にこだわるのか-。

 1988年以来29年ぶりとなる世界一へのカギは、ライバル球団との戦いだけでなく、視界にチラつく大記録なのかもしれません。

【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「メジャー徒然日記」)