マリナーズ菊池雄星投手(27)が、米アリゾナ州ピオリアでメジャー1年目の春季キャンプを打ち上げました。岩手・花巻東高時代から目標としてきた場所だけに、2月12日から約1カ月の期間は、心躍るような日々だったようです。

「あっという間すぎて、本当に毎朝球場に来るのが楽しみでしょうがなかったですし、休みが欲しいなと思ったことは1度もなかったです。本当にそのくらい早く朝になってくれないかと思いながら楽しく1カ月を過ごせました」。

これまでメジャーに挑んできた日本人選手の多くが、1年目のキャンプを終えた際、疲労感を口にしてきました。全体練習は日本と比較にならないほど短く、まさにあっという間に終わります。ただ、日本のように「4勤1休」などという慣習はなく、今キャンプのマリナーズの場合、完全休養日はわずか1日だけでした。しかも、1年目の選手の場合、言葉も文化も気候も違う環境で、食事でも食べたいものが手に入るとも限りません。つまり、グラウンド上だけでなく、通常の生活面でもストレスを感じる場合が多く、どちらかと言えば「気疲れ」するケースも多いような気がします。

ところが、菊池の場合、異文化をそのまま全身で受け止めていました。キャンプ最終日の笑顔は、決してメディア用の「外面」ではない種類のものでした。

「やれることはやってきたつもりですし、いい1カ月、いい準備をできたと思います。まだまだ精度を高めていかないといけないところも当然あるんですけど、1カ月前に想定していたボールのことだったりマウンドのことだったりとか、環境のことだったりとか、そういう部分はある程度クリアできてるのかなとは思います」。

西武時代の菊池を知る関係者によると、日本では細かいルーティンにこだわるなど、繊細なイメージがあったようです。ただ、渡米後は、グラウンド内外でほぼ問題なく、適応しているのではないでしょうか。事前に英語を勉強してきたこともあり、チームメートとも積極的にコミュニケーションを取っています。何よりも、常に笑顔を絶やさない、前向きな姿勢は、米国で生き抜いていくうえで最も重要な要素と言っていいかもしれません。

「言葉にできない楽しさがいっぱいありました」。

もちろん、公式戦が始まれば、楽しいだけでなく、新たな壁にぶつかり、自問自答を繰り返すはずです。それでも、今の菊池の言動に接する限り、すぐに米国流になじむような気がします。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)