大リーグはオーナー側と選手会の交渉がようやく妥結し、新労使協定が締結されました。開幕は約1週間遅れの4月7日(日本時間8日)ですが、当初の予定通り162試合を開催します。ロックアウト(施設閉鎖)も99日目で終了し、3月13日(同14日)からキャンプもスタート。渡米5年目のエンゼルス大谷翔平投手(27)も本格始動します。
労使紛争による開幕延期は1995年以来27年ぶりです。当時を振り返ると、前年94年8月に労使交渉が決裂し、ストライキに突入。残りシーズン打ち切り、ワールドシリーズを含むポストシーズンも中止という最悪の事態に陥りました。
95年になっても労使交渉には進展がなく、オープン戦は代替選手で行われました。ようやく3月末に、当時米プロスポーツ史上最長232日間に及ぶストが終わり、当初予定より約3週間遅れで4月25日に開幕しました。
しかし、金持ち同士の争いに失望したファンの野球離れが深刻化。映画「フィールド・オブ・ドリームス」の作者W・P・キンセラは「ストが解決しても球場に行かないようにしよう」と全米のファンに呼び掛けるなど、観客動員数が激減。大リーグは最大のピンチに直面しました。
そのとき、大リーグにさっそうと現れたのが、近鉄を退団して海を渡った野茂英雄投手(当時26)でした。
2月にドジャースとマイナー契約し、ジャイアンツ村上雅則投手以来30年ぶり2人目の日本人選手としてデビュー。独特のトルネード投法と伝家の宝刀フォークで奪三振ショーを演じ、全米中に大旋風を巻き起こしました。ド派手な活躍でファンを球場に呼び戻し、いわば救世主となりました。
今年は広島からポスティングシステムで鈴木誠也外野手(27)が挑戦します。昨年12月からのロックアウトで契約交渉が凍結され、まだ再開直後で新天地は決まっていませんが、すでにカブス、パドレスなど5球団以上もの球団から高い評価を得ています。交渉期間はまだ2週間以上も残っていますが、開幕を逆算するとビザ取得の手続き、チーム合流から急ピッチでの調整が必要など時間的余裕はなく、契約が急がれる状況です。
例年よりキャンプ短縮でオープン戦も減り、実戦不足は否めません。それでも、95年の野茂は1年目からいきなり13勝を挙げ、奪三振王と新人王にも輝きました。投手に比べて野手は打撃、守備、走塁などやるべき事は多いですが、鈴木も救世主的存在になってほしいです。
そして、今年も投打二刀流でフル稼働が期待されるエンゼルス大谷には、2年連続MVPに輝くような活躍を期待したいです。特に、シーズンが短くなるほどスタートダッシュは大切。開幕戦で勝利投手となり、ホームランも打ってベースボールフィーバーに再点火して、1人でも多くの観客を呼び戻してくれることを願います。(大リーグ研究家・福島良一)




