28年の米西部ネバダ州ラスベガスへの本拠地移転に向け、現在カリフォルニア州サクラメントを暫定本拠地とするアスレチックスが、着々と準備を進めています。その一環として、6月9日から同地で「ラスベガスシリーズ」と銘打って開催されたアスレチックスの公式戦を視察して来ました。
まずはラスベガスにおける野球の歴史について、ご紹介します。1947年、同地に初のプロ野球チームとしてラングラーズが誕生しました。その後、83年にキャッシュマンフィールドが開場し、マイナーリーグのスターズ、後に51sと改称する3Aチームの本拠地球場として使われました。
96年にはアスレチックスが、本拠地球場改修工事により同球場で開幕6試合を開催。しかし、2019年に新球場ラスベガス・ボールパークが完成すると野球場としての役目を終え、現在はサッカー競技場として使用。それでも、地元記者によると「ラスベガスの野球史はキャッシュマンフィールドから始まった」と言って良さそうです。
世界的に「ギャンブルの街」として有名なラスベガスはスポーツ不毛の地でしたが、17年にNHLのベガス・ゴールデンナイツが誕生。20年にはNFLのオークランド・レイダースが本拠地移転。そして、28年にMLBのアスレチックスもやって来るなど、今や「スポーツ天国」へと急速に変貌(へんぼう)しつつあります。
その米4大プロスポーツが続々とやって来る背景について、地元記者は「全米各地からラスベガスに人々が集まって来ているからだ」と言います。確かに、1947年に初めてプロ野球チームができた当時の人口は2万人程度だったそうですが、現在の人口は全米24位の約68万人。都市圏を含めると約230万人規模に広がっています。
また、プロスポーツチームの集結により「地元の人たちにとってさまざまなスポーツを楽しめる環境が整ってきた」と言います。「アイスホッケーやフットボール好きがいれば、野球が好きな人もいる。これまで地元チームを応援していたのが、今度はラスベガスのチームを応援しようというファンも増えている」そうです。
ラスベガスでの野球人気は「毎年3月の春季キャンプ中に大リーグのオープン戦が行われ、多くのファンが球場に集まっています。そして、今回アスレチックスの公式戦開催は新たな章の始まり。アスレチックスだけでなく、相手チームのファンも楽しみにしている」と言います。
今回ラスベガスで30年ぶりとなる大リーグ公式戦について「この街には全米各地から大勢の人たちが集まっているので、地元チームのみならず、相手チームや選手たちを見るのも楽しみにしています。このあたりもラスベガスならではのスポーツ文化の特徴だと思います」と話してくれました。
確かにアスレチックス傘下3Aアビエイターズの本拠地ラスベガス・ボールパークには、アスレチックスだけでなく、対戦相手ブルワーズのファンも大勢いたのに驚きました。それと何よりアスレチックスのユニホームで背中に「VEGAS 28」と書かれた、本拠地移転を待ちわびるファンが大勢いたのに感動しました。
今回は私にとっても52年ぶりのラスベガス訪問となり、ついでに24年NFL王座決定戦、スーパーボウルの舞台にもなったレイダースの本拠地アレジアントスタジアムを見学。さらにT-モバイルアリーナでNHLのスタンリーカップ生観戦という幸運にも恵まれ、地元ファンの熱狂ぶりを十分に体感することができました。
最後はもちろんアスレチックスの新球場建設現場を見学。老舗カジノホテルのトロピカーナ跡地で、カジノ商業施設区域という最高の場所。世界的な「エンターテインメント都市」で2年後にドジャース大谷翔平投手もプレーするかと思うと、ワクワクが止まりません。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)




