現地19日、MLBの審判団が選手からの暴言への抗議のため、白いリストバンドをつける行動に出た。しかしこの抗議行動はわずか1日でとりあえずの収束に至っている。

 今回審判達が抗議行動に出た直接的なきっかけは14日のタイガース対レンジャーズでの出来事だった。この試合でタイガースのイアン・キンズラー二塁手がストライクの判定に対しエンジェル・ヘルナンデス球審に抗議をし、退場を宣告された。翌日、この件に対しキンズラーは「彼は試合の流れを変えてしまう。彼は別の仕事が必要だ。心からそう思う」と審判を批判する発言をしたのである。この発言によってキンズラーは罰金処分を受けたものの、出場停止にはならなかった。

 このキンズラーの行動と処分に対し、審判の組合組織であるワールド・アンパイア・アソシエーション(WUA)が19日、審判への暴言の抑制を求めるため、抗議の意味で白いリストバンドを着用することを宣言したのだ。

 実はキンズラーだけでなく、審判への抗議がひどくなっているという批判が以前から出ていたという背景もある。昨年7月にはMLBが試合中の口論を控えるように各チームの監督などに通達を出したこともあった。

 さらに8日にはレンジャーズのエイドリアン・ベルトレ3塁手が審判に対して最も不満を言う選手だと発言したジョー・ウエスト審判が3試合の職務停止処分を受けていたことも大きかったようだ。キンズラーが罰金処分に留まったことで裁定が不平等と捉えられたのである。

 これに対しロブ・マンフレッドMLBコミッショナーは素速い対応を見せた。WUAと話し合い、近々WUAと正式なミーティングを実施することを提案。WUAはこれを受け入れ、抗議行動を即座に停止すると発表したのである。WUAは「我々は、コミッショナーが言葉による非難や他の重要な案件について真剣に取り組んでくれる姿勢を示してくれたことに感謝する。我々は自らの誠実さを明らかにするために、ミーティングが開催されるまで抗議活動を取りやめにする」とコメントしている。

 ただこれすんなり収まるかというとそういかないかもしれない。まずコミッショナーはミーティングの開催で同意できたことはよかったとしながらも今回の抗議行動について「労使協定に違反している」とも発言し、WUA側にも問題があったとしているのだ。

 さらにキンズラーは抗議行動に「全く気にしていない。審判としてのキャリアが終わるまでずっと白いリストバントをつけていればいいじゃないか、自分は気にならない」と弱まった火に油を注ぐような発言をしている。

 この問題はこれからもくすぶり続けそうだ。