エンゼルス大谷翔平投手の二刀流での活躍がアメリカでも大きな話題となっているが、別の意味での二刀流でメジャー挑戦を続けている選手がマイナーにいる。現在メッツ傘下のビンガムトン・ランブルポニーズに所属するティム・ティーボウ外野手だ。

 ティーボウはプロ・アメリカンフットボールNFLでクオーターバック(QB)として活躍した経歴を持つ。フロリダ大学時代にチームを2回全米チャンピオンに導いたうえ、最優秀選手に送られるハイズマン賞を受賞し、一躍人気選手となった。2010年にドラフト1巡指名でデンバー・ブロンコスに入団。翌年には先発QBとしてプレーオフにも進出し、さらに人気を高めた。が、その後は低迷し、15年以降契約するチームはなく、大学フットボールのテレビ解説者を務めていた。

 しかし高校以降野球をプレーしていなかったものの、16年8月にMLB挑戦を宣言し、トライアウトを開催。このトライアウトには28チームものスカウトが集まる注目ぶりで、見事メッツとマイナー契約を勝ち取ったのだ。この年教育リーグと秋季リーグに出場し、教育リーグでは最初の試合で1本塁打、秋季リーグでは71打席で打率1割9分4厘という成績を残している。

 昨年はメッツのスプリングトレーニングに参加したものの、オープン戦での打撃は17打数4安打、打率2割3分5厘という成績しか残せず、シングルAに送られた。シングルAではコロンビア・ファイアフライズとセントルーシー・メッツの2チームに所属し、計126試合に出場、打率2割2分6厘、50打点、8本塁打という成績だった。

 パッとしない数字だが、コーチ陣は成長を認めており、今年のスプリングトレーニングも招待選手としてメジャーのキャンプに参加している。ただ足首を怪我したこともあり、途中でマイナーに送られ、結局ダブルAのランブルポニーズに所属することなった。

 ただ現在30歳のティーボウだが、依然成長を続けている。5月に入っての3本を含み、既に4本塁打、打率も2割4分6厘と自己最高を記録しているのだ。

 MLBとNFLの両方で活躍した選手としては元ロイヤルズのボー・ジャクソン外野手や元ブレーブスのディオン・サンダース外野手の例があり、あながち夢物語ではない。またメジャーには上がれなかったが元NBAブルズのマイケル・ジョーダンのような挑戦もある。

 現在の成績で即メジャー昇格はないだろうが、ティーボウの挑戦も大谷同様見守っていきたい。