スポーツ専門局ESPNの電子版が現地9日、ハっとさせられる記事を掲載した。「400万個のボブルヘッドが追加?2020年の失われたMLBの景品は、ファンのための大当たりになる可能性」というものだ。

昨年MLBはコロナ禍によって開幕が遅れ、シーズンが大幅に短縮されただけでなく、プレーオフの一部とワールドシリーズ以外は無観客での試合開催となった。そのため来場者に進呈されるはずだったファンにはおなじみのボブルヘッド人形が大量に眠った状態になっているというのである。

記事では昨年パイレーツに所属していたトレバー・ウィリアムズ投手の例を挙げている。パイレーツは昨年初めてウィリアムズがスターウォーズのストームトルーパーに扮したボブルヘッド人形を製作、8月の終わりの試合で最初の入場者1万人に進呈する予定だったのだとか。

が、結局ウィリアムズにとって人生初の日は来なかった。このオフにウィリアムズの自宅にはパイレーツから200の人形が詰まった段ボール箱がいくつか送られてきたという。それでもパイレーツの本拠地PNCパークの倉庫には917にのぼる箱が保管されているのだとか。

腐るものでもないので人数制限されたとしても有観客試合が増えると見込まれている今シーズンに再利用すればいいのだが、ことはそう簡単にいかない。ウィリアムズは昨シーズン後FAとなり、1年契約でカブスに移籍したのだ。人形にはパイレーツのPのロゴも入っている。ましてや人形はパイレーツの資産でもある。

パイレーツはウィリアムズの他にもナショナルズにトレードされたジョシュ・ベル一塁手のボブルヘッド人形も抱えているのだという。

パイレーツ以外にもこうした“課題のある在庫”を抱えているチームは多いようで、レンジャーズも複数の既に在籍していない選手のボブルヘッド人形が入った箱を1万以上保有しているということだ。

さらにボブルヘッド人形の大半を生産しているBDA社のCEOによる証言では人形は配布予定日の数カ月前には製造計画が作られるため、同社には約400万個の人形が倉庫に眠っているということである。

一部は慈善団体などに寄付するなどの動きも出ているということだ。ウィリアムズもツイッターを通じ75個のボブルヘッド人形をファンにプレゼントすることを発表している。

ただこれはこれでレアなボブルヘッド人形としてコレクターがプレミアムグッズ化してしまう可能性もある。

また来場者にプレゼントされる予定だったグッズはボブルヘッド人形だけではない。そうした景品がどうなるかを考えると、コロナ禍がMLBに与えた影響の大きさを改めて考えることとなった。