イチローは衰え知らずのスピードを生かした内野安打が多い。3000安打の内訳では約23%が内野安打だ。メジャーの過去の記録を集計しているサイト「ベースボール・レファレンス」によると、通算3141安打で首位打者8度のトニー・グウィンが約9%、ヤンキースで通算3465安打のデレク・ジーターが約15%で、過去の安打製造機と比べて多さが際立つ。

 内野安打を除く打球方向は、見事に全方向へ打ち分けている。年度別に見ると、デビューから2年間は左中間から左の割合が高かったが、全盛期の3年目から大リーグ記録を更新する9年連続シーズン200安打を達成した09年は左右同じか右中間から右が多い。不振だった昨季までの2年は再び左が多くなっていた。

 打ったコース別の傾向では、シーズン最多記録を更新する262安打を放った04年はボール球を含めて内角が高打率なのに対し、打率が自身最低の2割2分9厘だった昨季は内角に苦しんだ。今季は内角に対応して復調。好不調にかかわらず、外角はボール球でも安打にしているのは芸術的なバットコントロールと俊足のなせる技だろう。