98年に30歳の若さでヤンキースのGMに就任した同氏は、潤沢な資金力をバックに、過去にはアレックス・ロドリゲス、C・C・サバシアら大物選手と次々に大型契約を締結。日本人では松井秀喜をはじめ、3年前にはポスティングシステムを利用した田中将大を獲得した。ヤ軍の日本人情報は、紀田彰一アジア地区担当スカウトが幹部に報告しており、田中獲得の際も来日して直接視察することはなかった。同氏が足を運ぶことは異例中の異例だ。

 鎌ケ谷まで電撃訪問したレンジャーズ、メジャー通算204勝のOB、ハーシュハイザー氏を連れ立って視察したドジャースなど、各球団が「大谷詣で」を続ける中、ヤンキースも編成トップの参戦で情勢を一気に動かしてきた。

 大谷は今オフのポスティング移籍を、球団から容認されている。今季は右足首痛と左太もも裏肉離れの影響で満足いくシーズンは送れていないが、8月は月間打率3割8分9厘と調子を上げてきた。投手としても、31日の同戦が約1カ月半ぶり、今季2度目のマウンド。この日、仙台から旭川へ移動した大谷は、今日からのソフトバンク3連戦へ向け「1位と5位ですし、向かっていく気持ちでいきたい。勝ちが続いているので、勢いにのっていきたいです」と見据えた。シーズンが佳境を迎え、周囲の“狂騒曲”は過熱の一途をたどる。31日当日はヤンキースのほかにも、メジャー10球団以上が視察に訪れる見込みだが、まずはプレーで、多くのファンと関係者を魅了する。