今年のワールドシリーズに進出したアストロズは、13年には51勝111敗(勝率3割1分5厘)で大リーグの“底辺”にいた。

 だが米スポーツ・イラストレイテッド誌は今から3年前の14年6月30日号の表紙にジョージ・スプリンガー外野手を起用。「17年ワールドシリーズ王者・アストロズ」というタイトルをつけて、3年後のア軍の躍進を予言した。

 記事を執筆した同誌のベン・ライター記者は米ABC電子版の取材に対し「スポーツ・イラストレイテッドが過去におこなった、あまりに無謀な予想のうちの1つ。野球ファンはとても面食らったと思う。嫌悪感を漂わせたメールもたくさんもらったし、全米でバカにされたよ」と当時を振り返る。

 それでもライター記者は「フロントオフィスで面白いことが起きていると興味をもったし、外部の人間によって、新しいことが始まっていると感じた」と、当時のア軍から可能性を感じ取ったという。

 ア軍は11年オフにジェフ・ルーノー氏(50)をGMに就任させた。同GMは世界的コンサルティング会社「マッキンゼー・アンド・カンパニー」を経て、ハイテク起業家として成功を収めた異色の経歴の持ち主だ。

 ルーノーGMはビジネス関係にあったカージナルスのオーナーに誘われてカ軍入り。編成副本部長などの要職でデータシステム構築、マイナーの再建、選手評価システムの見直しに尽力した。カ軍がドラフトで獲得した選手がメジャーでプレーする確率は格段に向上した。

 11年オフからア軍のGMとなり、ここでも球団内に改革の波を巻き起こした。その結果、チームは13年から勝ち星を51勝、70勝、86勝、84勝、101勝とほぼ毎年伸ばしてきた。

 しかし、それはあくまで結果であり、14年6月の時点でその後のア軍の躍進を予測したライター記者は見事としか言いようがない。同記者は22日に自身のツイッターにスポーツ・イラストレイテッド誌14年6月30日号の表紙を再び掲載し「待てよ、これって何年のものだっけ?」とツイートした。