ポスティング制度でメジャー挑戦を目指してきた日本ハム大谷翔平投手(23)の移籍先が、エンゼルスに決まった。代理人のネズ・バレロ氏、エ軍がともに正式に発表した。11月29日の渡米後、書類審査を経て7球団と直接交渉を行った結果、大谷が決断した。背番号は「17」。大谷は9日午後3時(同10日午前8時)、本拠地エンゼルスタジアムで入団会見を行う。

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 大谷の最終決断は、米国内で意外な結果として受け止められた。当初は、ヤンキース、ドジャース、マリナーズなど過去、日本人獲得で実績のある人気球団が有力視されていた。ただ、代理人側が情報統制を徹底したことで、交渉過程が漏れることなく、米メディア内でも臆測中心の情報が交錯した。その一方で、大谷に近い一部関係者の間では、常にエンゼルスの名前が消えることはなかった。

 大谷自身が自らの口を開いていないこともあり、現時点で最終的な「決め手」は見えてこない。ただ、メジャー関係者の中では、「日本人選手のいないチーム」を有力視する声も根強かった。その最大の理由は、自分が入団して騒動になることで先輩選手に迷惑をかけたくない、と気遣う大谷の性格、思考を想定していたからだった。

 「二刀流」にこだわるうえで、「DH」を重要視した可能性もある。カブス、ジャイアンツなどナ・リーグ球団が、投手&外野手として年間300打席~400打席も可能と訴えたものの、9イニングでフルに守備に就く負担、故障のリスクは決して少なくない。日本ハムでの5年間で「二刀流」の練習メニューなどのノウハウを確立し、一定のバイオリズムに慣れたこともあり、外野手よりも「DH」が有利に働いたとも考えられる。

 温暖な気候、日本人コミュニティーのあるロサンゼルス郊外でもあり、環境面としても申し分ない。フロント陣の熱意も含め、総合的な判断でエ軍を選択したのではないだろうか。【MLB担当=四竈衛】