米大リーグ・エンゼルスのビリー・エプラーGM(42)が8日、日本ハムの栗山監督らに大谷翔平投手(23)の“取扱説明書”を直接取材した。日本ハムの2軍施設のある千葉・鎌ケ谷を訪問し、勇翔寮内で大谷、栗山監督らと約45分間会談。これまでのトレーニング方法などを熱心に確認した。球団編成トップの異例の来日には、メジャーで投打二刀流を成功させたいという本気度が垣間見えた。

 清宮の入寮から26分後の午後2時28分。タクシーでエンゼルス一行が勇翔寮に現れた。タクシー代を支払ったエプラーGMの他に、アスレチックスなどで三塁手として活躍したエリック・チャベスGM特別補佐、ヘッドフィジカルセラピストのバーナード・リー氏とマッサージセラピストの寺田庸一氏が同行。寮内に入ると、日本ハムの栗山監督、吉村GMら6人との会談が即座に始まった。

 約45分間の会談の内容について、エプラーGMは「ノーコメント。アイムソーリー」と明かさなかった。代わりに、吉村GMが「主に栗山監督に対して、注意すべきことを聞かれていた。栗山監督は丁寧に説明されていました」と説明した。具体的には登板前後の休息期間や、野手として週に何度起用したのかなどを熱心に尋ねていたという。栗山監督らが出席予定だったスカウト会議が15分押しで始まるほどだった。

 さらにエンゼルス一行は大谷と日本ハムのトレーナー陣と室内練習場に移動した。吉村GMは「(大谷の)体を見ていた実際の人に話を聞きたかったようです」と話し、昨年10月に手術を受けた右足首の現状や過去5年間のトレーニング内容などを確認したとみられる。日本ハムは、エンゼルスから求められた、これまでの体のケア方法や内容、投手として投げた球数のデータなども提供した。

 到着から1時間50分後の同4時18分。エンゼルス一行は、納得の表情を浮かべながら鎌ケ谷を後にした。大谷も寮の玄関先まで出て見送った。今回の訪問は日本ハム側も想定していなかった。異例の来日で、大谷の“取扱説明書”を取材に来た熱心さに栗山監督も「向こうの聞きたいことに全て答えた。(エプラーGMは)本当に一生懸命だし、誠実。そういう人にやってもらうのは安心」と感心。メジャーでの二刀流成功につながることを、願っていた。【木下大輔】