米大リーグで資金力が潤沢な球団から乏しい球団に収入の一部を回す「所得分配制度」を巡り、選手会がマーリンズとパイレーツの再建策を問題視している。AP通信が報じた。

 マーリンズはオーナーが交代し、元ヤンキース主将のジーター氏が最高経営責任者(CEO)に就任。昨季本塁打と打点で2冠のスタントンら主力を次々と放出した。パイレーツもエースのコールらをトレード。「分配制度で収入を得たチームは、それを戦力アップのために使わなければならない」との労使協定の規定に反すると選手会は懸念を示した。

 所得分配制度は格差是正のため、ローカルテレビ放映権など独自収入の一部を供出し合い、平等に振り分ける。導入された2002年にはヤンキースが4500万ドル(約49億円)供出し、エクスポズ(現ナショナルズ)が3130万ドルの配分を受けた。こうした資金を元手に選手を補強し、好成績につなげた球団もある。

 大リーグ機構は、今回の2球団のケースは違反に当たらないという。「マーリンズのオーナーは過去2年の金銭的負担に加え、今季も損失が予想される。パイレーツは収入減にもかかわらず、年俸が上がり続けている」と理解を示した。