エンゼルス大谷翔平投手(23)が、右手中指のマメの影響でわずか2回で降板。メジャー最短となる2回4安打3失点で初黒星を喫した。かつてメッツに在籍し、メジャーで戦った小宮山悟氏が大谷にアドバイスをおくった。

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 登板直前、ダッグアウトの大谷は左手にグラブをはめたまま、落ち着かない様子で出番を待っていた。そんなプロの投手はほとんど見たことがなく、非常に珍しい光景だった。

 さまざまな要因が入り交じり、気持ちが入りすぎたように映った。相手は強打のレ軍で、投げ合う相手はプライス。全米が注目した試合で、はやる気持ちに拍車を掛ける条件がそろっていた。しかも中6日の登板間隔が中止で延びた。試合が詰まった夏場なら「休みが取れた」と解釈できる。しかし新天地でいち早く二刀流のリズムをつかみたい好調大谷からすれば、この2日間で水を差された感じがしたのではないか。

 そこに厳しい気候の変化と、右手中指のマメという自身の悪条件も重なった。マウンドでは右手の指に息を吹きかける場面が目立った。これはマメの影響というより、湿度が低いことによってボールが滑ったからだろう。少しでも指に湿気を与え、ボールをしっかりグリップしようとしたが、マメもあってスプリットは制御が利かない状態。スライダーも同様では、160キロの直球を投げても組み立てができず、詰まりながらでも打ち返されてしまう。

 体に変調があれば、あれだけ強い直球は投げられない。であればなおさら、3度目の登板で一気に出たメジャー特有の問題を教材として付き合い、乗り越えなくてはいけない。

 マメについては体質もあろうが、湿度の高いカンザスシティーからロサンゼルスへ移動し、ふやけた状態の指が一気に乾燥した影響も考えられる。兆候を逃さず、いかに指先のコンディションを保つか。悪化しないよう、コーティングの方法などにも工夫の余地はある。何事にも動じないメンタルも磨く必要がある。しかし大谷には、経験を糧にする対応力がある。腰を据えて成長できる6年契約の中で、どこまで進めるか。逆に楽しみが広がった。(日刊スポーツ評論家)