エース道を行く。マリナーズ菊池雄星投手(27)が3日、今月中旬から始まるアリゾナキャンプに向けて、関西国際空港から渡米した。米国ではサイ・ヤング賞候補のダークホースにあげられるなど期待が高まっているが、本人も大黒柱として自覚たっぷり。先発ローテーションの軸を担う覚悟を明かし、メジャー1年目からのフル回転を誓った。

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ちょっと気の早い大穴予想を聞かされると「ハハハッ」と白い歯をこぼした。2日、大リーグ公式サイトが今季のサイ・ヤング賞レースを特集。菊池はカブス・ダルビッシュらと並んで大穴候補にあげられた。まだメジャーで1球も投げていないのに、期待は膨らむ一方。そんな重圧を笑い飛ばせるだけの覚悟が、菊池にはあった。

「1年目からローテーションの中心となって回っていかないといけないと、責任を感じています」

関西国際空港から渡米。「本当に楽しみ。やってやるぞ、という気持ちです」。今にも武者震いしそうな表情は、準備が順調な証だ。1月は沖縄・石垣島で自主トレ。すでにブルペンに5度入り、滑りやすいメジャー球にも「だいぶ適応してきた」。球団側は最長7年の契約もあって、メジャー1年目は球数などを繊細にチェックしていく方針。だが、本人に甘えはない。

マリナーズは今オフ再建モードに突入し、主砲カノや昨季11勝左腕パクストンら主力を放出。菊池は26歳左腕ゴンザレスと先発2本柱の形成を期待される。「イニング数が1番評価されると聞いています。そのためにも1年間健康であること」。フル稼働しかイメージにはない。

1月27日には元フリーアナウンサーの愛妻・深津瑠美(32)が第1子の妊娠を公表。今回はいったん単身渡米となる。「健康でいい準備ができていることを毎日届けられるように頑張りたい」。一家の大黒柱としても気合十分だ。

2月中旬にアリゾナキャンプがスタート。順調に調整が進めば、3月20、21日の開幕アスレチックス2連戦(東京ドーム)でのマウンドも見えてくる。

「西武ライオンズで出してきたものを評価されてマリナーズに行く。まずはそのスタイルを大事にしながら、柔軟に対応していくのが大事だと思っています」

堂々と、エース道を突っ走る。【佐井陽介】