大谷翔平投手(29)が所属するドジャースの主力打者に、日本一を目指す若者が立ち向かった。今月5日(日本時間6日)、米国でキャンプ中だったトヨタ自動車とドジャースのマイナーチームが対戦。ともに今季の実戦初戦だった。ド軍の上位3人にはギャビン・ラックス内野手(26)、ジェームズ・アウトマン外野手(26)、クリス・テーラー内野手(33)が並んだ。

トヨタ自動車の先発は入社2年目の左腕・増居翔太投手(23)で、慶大時代の米国遠征でダイヤモンドバックスのマイナーと対戦経験があるが、実績十分の主力打者との対戦は初だった。「めちゃくちゃ楽しみでした。投げてみて、すごく楽しかった」。だが、格の違いは歴然。実際に、通算104本塁打でワールドシリーズ出場の経験もあるテーラーは、第1打席で逆方向の右中間へ豪快な2ランを放った。2ストライクから増居は内角直球を制球ミス。やや甘く入ったところを完璧に捉えられた。

「中に入りました。それが、あれだけの打球になる。日本でやっていたらおそらく、ファウルになったり、ヒットだったり。メジャーの選手はスイングの強さが初球と変わらない。カルチャーショックでした」

日米の違いを大きく感じたのは打席でのマインドだった。「1球目も追い込んでからも、スイングが一切変わらない。振る、振らない、イエスか、ノーか。イエスの時は、自分の100%のスイングをする。ほぼ、全員そうでした」。

一方で、日本人投手らしい投球技術も光った。テーラーは「最もやりにくかったのはタイミング。特に走者がいるときに、早い。僕はスイングが大きいから、戸惑った」。日本野球の伝統芸とも言えるクイック投法の精度の高さ。2打席目は内角球を決められ、手が出ずに見逃し三振となった。「いいボールだった」。左打者のアウトマンも「ホームまで投げるのにとても素早い。スピードを変えて、ボールに変化もつけて、いろいろなところに制球できる。とてもクリエーティブな投手だ」と称賛した。

5回3失点で粘った増居にとって、この対戦は何にも代えがたい野球人生の糧となった。「抑える、抑えないは別として、その経験ができた事実が、すごいうれしい」。互いに発見があったノンプロVSメジャーリーガーの戦い。野球の奥深さが、かいま見えた。【MLB担当=斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)

ドジャースのギャビン・ラックス(2024年3月10日撮影)
ドジャースのギャビン・ラックス(2024年3月10日撮影)
ドジャースのジェームズ・アウトマン(2024年3月10日撮影)
ドジャースのジェームズ・アウトマン(2024年3月10日撮影)
ドジャースのクリス・テーラー(2024年3月10日撮影)
ドジャースのクリス・テーラー(2024年3月10日撮影)