右肘内側側副靱帯(じんたい)の再建手術(トミー・ジョン手術)からリハビリを続けてきたエンゼルス大谷翔平投手(24)の復帰が、いよいよ目前に迫った。打者専念となるメジャー2年目シーズン。高まる周囲の期待とともに、対戦相手も牙を研ぐ。今日5日から、復帰を待ちわびる男たちを紹介する。

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昨年、大谷は対戦相手で最も印象に残った投手に、アストロズのエース右腕バーランダーの名前を挙げた。「勉強になることもたくさんあった」。14打数3安打。1本塁打2打点を挙げた一方で5三振を喫した。「品のある球」「いくら払ってでも(対戦を)経験する価値がある」と、メジャー屈指の右腕に脱帽した。

バーランダーも大谷を絶賛する。「彼のように優れた才能を持っている選手は今まで見たことがない」。初対戦の相手は、事前にほとんど研究しない男が、大谷は対戦前に入念に映像をチェック。対策を練った。実際の対戦後には「どれだけ能力の高い打者か分かった」とトップレベルの打者と認めた。初対決は4打数無安打に封じるも、2度目の対戦では二塁打、3度目は本塁打を浴びた。しかし4度目、5度目の対戦では無安打にねじ伏せた。

お互いが特別な存在として意識し、しのぎを削る。今年4月下旬。実戦形式の打撃練習を開始した大谷は「どこで復帰するかも分からないですし、(相手の)データはまだ見ていない」と、打撃のレベルを上げることに集中していた。バーランダーの映像も「まだですね」と研究は始めていなかった。対照的に、今季のバーランダーは既に4勝をマーク。近づく再戦を控え、万全の状態だ。

ライバルとの再戦を前に、時代は令和に変わった。大谷は「これからが本番と思っている」と勇ましい言葉で意気込みを示した。通算208勝右腕との世界トップレベルの戦いは、新時代の名勝負となるに違いない。【斎藤庸裕】

◆ジャスティン・バーランダー 1983年2月20日、米国生まれ。04年にドラフト1巡目(全体2位)でタイガースに入団。05年にメジャーデビューし、06年に新人王を獲得。最多勝2度、11年には24勝5敗でサイ・ヤング賞とMVPに輝いた。今季4勝1敗、通算では208勝124敗、防御率3・37。196センチ、102キロ。右投げ右打ち。