米大リーグの20年シーズンが23日(日本時間24日)、ナショナルズ-ヤンキース戦、ドジャース-ジャイアンツ戦で幕を開ける。新型コロナウイルスの感染拡大で当初の予定から約4カ月遅れでの開幕。今季からメジャーの舞台に臨むレッズ秋山翔吾外野手(32)は、ポジションをつかみ取るべく、強い覚悟で1年目の戦いに挑む。開幕を目前に控え、心持ちを明かした。

秋山が覚悟を持って、第1歩を踏み出す。130年以上の歴史を持つレッズだが、これまで米大リーグで唯一、日本人選手のメジャー出場がない。

秋山 歴史のある球団なのに(出場すれば)最初の日本人っていうのはある意味、粋というか、面白みはあります。これから自分が、日本人像というか、そういうものを作っていければと思っている。それに見合った活躍をしたいと思ってますし、やりがいもある。

日本人選手の“全30球団制覇”ともなるスタートは、大切な家族と切る。2月中旬に単身渡米。コロナ禍でのキャンプ中断後は、ロサンゼルスで通訳と自主トレを続けた。夫人と2人の息子は3月中旬に本拠地のあるシンシナティに入ったが、離れ離れの生活。家族の顔を4カ月以上も見ない経験は、今までなかった。

秋山 テレビ電話をしていても、子供たちの反応はそんなに良くなかったんです。遊びに行きたかったんだと思う。いざ会ってみたら、待ちわびていたような雰囲気で、ちょっと歓迎してくれて、うれしかった。

開幕決定後の6月末にシンシナティ入りし、ようやく再会。練習の空き時間には3歳と5歳の息子と公園や川に行き、キャッチボールやザリガニ捕りをした。そして家に帰れば、夫人が手料理を作ってくれる。

秋山 ありがたみは強く感じます。家族と生活しながら野球の開幕に向けて準備している、他の選手とも一緒にチームとして動いているっていうのは、充実感というか、本来ある形に戻ってきている。気持ちの大きな変化はありますね。

キャンプ再開後は実戦形式の打撃練習や紅白戦で、アピールを続ける。

秋山 (打撃の)タイミングに関しては試行錯誤ですが、いい打席も前に比べたら出てきた。それがもう少し、まとまって続いてほしい。納得するバッティングが日本の時と比べると少ない。

思い描く打撃を追い求めながら、刻一刻と迫る開幕。緊張感と同時に、胸に去来する感覚がある。

秋山 改めて若い頃を思い出す感じはあります。毎日試されている、見られているという感覚。(ポジションを)与えられていないところから、どれだけ機会を得て、どれだけのものが残せたかっていうのが、選手の価値でもある。それを自分でつかめるように、結果に結びつけていきたい。

異例のメジャー1年目も最愛の家族と一緒に迎えられる。未開の歴史に「Shogo Akiyama」の名を刻む。【斎藤庸裕】