【アナハイム(米カリフォルニア州)7月30日(日本時間31日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(26)が、2試合連続アーチで本領を発揮した。マリナーズ戦に「5番DH」で出場し、6点を追う9回1死一、二塁から中堅スタンドへ3ランを放った。打ち返した98・5マイル(約158・5キロ)の内角直球はメジャー通算42本の中で最速。ゴルフのような芸術的1発を放った翌日に今度はパワフルな一撃を見せ、いよいよ打者大谷が勢いづいてきた。

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力と力のぶつかり合いを制した。大谷がパワーで剛腕に勝った。6点を追う9回1死一、二塁、マ軍の守護神アルタビーラに直球勝負を挑まれた。カウント2-2からの決め球は内角への98・5マイル(約158・5キロ)直球。ギリギリまで引きつけて体の内側でさばき、力で押し込んだ。角度31度で高く上がった打球は力負けせず、最後のひと伸びで中堅フェンスを越えた。

メジャー通算42本中、最速の直球を打ち返した。これまでの最速は18年4月27日、ヤンキースの右腕セベリーノの内角97・2マイル(約156・4キロ)の直球を弾丸ライナーで右翼席へ運んだものだった。同投手に「もう内角には投げない」と言わしめ、大谷自身も納得した1発。その後、対戦相手が外角中心に配球を変えるターニングポイントとなった。この日、マ軍バッテリーは何度も大谷の懐をえぐってきたが、2年前をほうふつとさせる一撃で一刀両断。改めて“内角は危険”とインプットさせた。

前日も同じ内角球をゴルフのような芸術的スイングで本塁打とし、2日連続で技術とパワーを見せつけた。一方で、アルタビーラとの7球のせめぎ合いではメンタル面の強さも示した。3球目、159キロの内角直球を空振り。追い込まれてからの6球目、159・5キロの外角直球をファウルとし、粘った。最後は3球目とほぼ同じ内角直球を完璧に仕留めた。劣勢でも決して諦めない。試合前、マドン監督から「打席で自信が出てきている」と評価されたように、気持ちの強さが結果に表れ始めた。

チームは2連敗を喫したが、大谷は4打数1安打で3試合連続の打点をマーク。7回には今季初盗塁を決めた。60試合のシーズン開幕前「短い期間ですし、飛ばせるだけ飛ばして両方しっかり頑張りたい」と決意を示していた大谷。8月2日には投手として復帰2戦目を控えるが、まずは打者で波に乗ってきた。