パイレーツからFA(フリーエージェント)となっていた筒香嘉智外野手(29)の来季残留が10日(日本時間11日)、決定的となった。メジャー複数球団が興味を示す中、今季途中に移籍したパ軍が、来季の中軸として積極的にアプローチ。金銭面など条件に折衝の余地を残すが、年俸400万ドル(約4億4000万円)前後で決着する見込みとなった。

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渡米2年目の今季、レイズ、ドジャースをへてメジャーでのプレー機会を与えてくれたパ軍への恩義を、筒香は忘れていなかった。公式戦終了直後からラブコールを送ってきた熱意を受け止めた。来季残留が決定的となった。

パ軍へ移籍した8月以降、持ち前の長打力と勝負強さを発揮した筒香に、レッドソックス、アスレチックス、レンジャーズなど6~7球団が強い興味を示してきた。その中でもパ軍は複数年契約を用意し、いち早くアプローチ。代理人を務めるジョエル・ウルフ氏によると、筒香は金銭面以上に、レギュラーとして「毎試合プレーできる環境」を最優先事項とし、1年契約での勝負を望んだという。その意向を尊重して交渉を進めてきた。

カリフォルニア州カールスバッドでのゼネラルマネジャー(GM)会議に出席中のパ軍ベン・チェリントンGMはこの日、「幸運にもヨシを獲得して以来、彼はすばらしい仕事をしてくれた。見ていて楽しかった」と、筒香への思いを語った。その上で「契約年数などについては話せないが、我々はいろいろなことについて話している」と交渉が最終段階に近づいていることをうかがわせた。

前日9日に取材に応じたウルフ氏は、1年契約を望む背景として、チーム再建途上のパ軍が来季途中に優勝争いから脱落した場合、筒香が上位球団へトレードで移籍することも想定。また、活躍次第では来季以降、長期の大型契約となる可能性にも含みを持たせた。

筒香は今季3球団を渡り歩き、マイナー降格も経験。はい上がってきた過程で多くの収穫を得た。今までと同じように、来季も真価が問われる勝負の1年となる。まずは、パ軍の主軸としてチーム力の底上げに尽力することが、課せられた仕事となる。

◆筒香嘉智(つつごう・よしとも)1991年11月26日、和歌山・橋本市生まれ。横浜高では1年生から4番を任され、2年春夏に甲子園出場。高校通算69本塁打。09年ドラフト1位で横浜入団。14年から6年連続20本塁打以上を放ち、16年には自己最多44本塁打、110打点を挙げ本塁打王と打点王に輝いた。ベストナイン3度。15年プレミア12、17年WBC日本代表。19年オフにポスティングシステムを利用しレイズと2年総額1200万ドル(約13億2000万円)で契約。メジャー2年で通算132試合に出場し、打率2割9厘、16本塁打、56打点。185センチ、102キロ。右投げ左打ち。