米国でモノマネ芸人として活動する日本人アキ・テリヤキがエンゼルス大谷翔平投手(28)に扮(ふん)する「ミニタニ」が27日(日本時間28日)、大谷本人が見つめる前で始球式を行った。球団から昨季全162試合観戦の偉業をたたえられ、本拠地エンゼルスタジアムで行われたドジャースとのオープン戦での大抜てき。投球は本家とは大違いな大暴投だったが、WBC優勝の世界一決定シーンをまねたグラブや帽子を投げるモノマネも披露した。

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大谷と同じ背番号17のユニホーム、身長159センチと小柄な「ミニタニ」がマウンドに上がった。通常はお面をかぶるが、視界が遮られるため外した。正直、顔は似ていない。大歓声…とはいかず、笑いを期待するザワつきのような歓声の中、主役に。「ここが大谷選手が立つマウンドかとアドレナリンマックスに達した時、構えてから投げ終わるまでの記憶がぶっ飛びました(笑い)。まったく覚えていない。気づいた時は大暴投でした」。勝手が違いすぎるド緊張の中、「始球式の練習をしすぎて肩が痛い」と準備した名誉な1球は、大谷のマネには遠く及ばなかった。

見せ場は投球後? 「思いきり投げきった感覚と、WBCで大谷選手が行った優勝瞬間シーンのモノマネが披露出来たことが最高の舞台。なにより大谷選手の目の前で投げられたことが一生の思い出になりました」。グラブと帽子を、投げて、雄たけびを上げた“世界一のモノマネ”も米国人には“空振り”だった。

12年から顔が似ているダルビッシュ有のモノマネ「ミニビッシュ」を開始してYouTube動画などで人気を博し、21年からは大谷のお面をかぶった「ミニタニ」も加わった。昨季はエンゼルスのホーム&ビジター全162試合を現地観戦。快挙をたたえる球団主催セレモニーの一環としてのオファーが届き、この日は「全試合観戦証明書」と題した表彰も受けた。「ミニタニ」が、YouTubeでのエンゼルスや大谷関連の動画配信、TikTokなどSNSでの活動が球団に認められた証しだ。

WBCも侍ジャパンの全7試合を生観戦。ダルビッシュと大谷のリレーにも大興奮した。もちろんエンゼルスの春季キャンプも行った。「今年も、全部行くしかないでしょう。メジャー全162試合観戦シーズン2の開幕です! また、このマウンドに立ちたいですし、ミニタニとして活躍する希望が持てました」。球団やファンへの感謝とともに、「ミニタニ」継続への勇気をもらった“聖地”の1球だった。

今季こそエンゼルスのポストシーズン進出を願う。「ミニタニ」は「僕からは1個だけ」と切り出した。「憧れるのはやめましょう。勝つことだけ考えていきましょう。さあ、行こう!」。WBC決勝前のロッカールームで大谷が発した名場面をまね、「侍ジャパンに続いてエンゼルスでも世界一になることを誰よりも願っています」。大谷の二刀流夢舞台を、大谷&ダルのモノマネ二刀流で、さらに盛り上げる。【鎌田直秀】

◆主なエンゼルス関連の日本人始球式 本拠地エンゼルスタジアム(アナハイム)では、18年4月3日にカーレーサー佐藤琢磨、19年7月27日に片付けコンサルタント近藤麻理恵さん、昨年6月24日には東京五輪スケートボード男子ストリート金メダル堀米雄斗、同7月28日には東京五輪サーフィン銀メダル五十嵐カノアが実施。今年の5月26日には元ヤクルト野村克也監督の孫でエンゼルス元球団職員の野村沙亜也さんも予定されている。昨年6月15日には俳優の渡辺謙がドジャースタジアム(ロサンゼルス)でのエンゼルス戦で行っている。

◆アキ・テリヤキ。茨城県出身。米・ロサンゼルス在住。モノマネ芸人&ユーチューバーとして活動し、ダルビッシュ有の「ミニビッシュ」、大谷翔平の「ミニタニ」のほか、DA PUMPのISSAのモノマネ「ChiSSA(ちっさっ)」も有名。日米のテレビ出演多数。日本のテレビ局でエンゼルス大谷の現地リポーターとしても活動。159センチ、54キロ。靴のサイズ25・5センチ。

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