【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)28日(日本時間29日)=斎藤庸裕】激情的なドジャース大谷翔平投手(31)が、今季5勝目を手にした。ロッキーズ戦に「1番DH兼投手」で出場し、第1打席で菅野智之投手(36)から9号ソロをマーク。登板日に2戦連続で先頭打者アーチを放ち、自らを援護した。投手では6回ノーヒット投球も4四球で制球が安定せず、いら立ち全開。自分との「格闘」に決着がつかないまま、登板を終えた。チームは故障者が続出する緊急事態も、5連勝を飾った。
◇ ◇ ◇
6イニング目、大谷は明らかにイライラしていた。そのベクトルは自分に向いていた。先頭の3番ラムフィールドに対し、2球で追い込みながら決め球が決めきれない。空振り三振まで、8球を要した。ガッツポーズはなく、何度も叫び、自分に対する腹立たしさを表現。6回ノーヒットの圧倒的な投球で終えても「全体的に自分の制球力と格闘していた感じ」と、首を横に振る場面が目立った。
イラ立ちの原因は「投げ心地」がしっくりこなかったことにある。4四球を与え、「安打を打たれる方がまだリズム的には悪くない。四球だと、それだけ長いイニングを投げづらくなると思うので。ヒットを5、6本打たれる方が効率的」と自らを断じた。打席ではクールな一方、マウンドでは別人のように激情的。ロバーツ監督は「背番号22番をつけていた男を思い出すね。(自分への)期待の高さや準備面、プレッシャーのかかる状況で集中し、投げきれるところも似ている」と語り、通算223勝のレジェンド左腕クレイトン・カーショーと重ねた。
今季は、必要に応じたメリハリも目立つ。5回の第3打席は一ゴロで凡退。アウトと分かると塁間の半分だけ走り、すぐにベンチへ引き返した。無理に、体力は使わない。「そこに注ぐよりも、次の回に集中した方が勝てる確率は高くなると思う。勝てる確率を高くするための戦略であり、1打席1打席っていうこと」。第1打席の本塁打でホームへ生還した直後も、投手への準備時間を少しでも作るため、ひじ当てを外しながらベンチへと戻った。常に、パフォーマンスを最大限にする意図がある。
投手で圧倒的な力を見せ、登板日に2戦連続で先頭打者アーチ。自らを援護し、菅野との投げ合いを制した。5月末で9発と例年と比べてペースは劣るものの「少しずつ上がってきている感じかなと。あとは角度がつけば(スタンドに)入るような打球も多くなってくると思うので、スイング速度、打球速度ともにいい傾向」と手応えをつかみつつある。本塁打を打ち、最速100・3マイル(約161キロ)を投げ、無安打で7奪三振。それでもまだ、投打で本調子ではない。ギア全開の二刀流へ、その道中にいる。
▼ドジャース大谷が先頭打者本塁打。投手の先頭打者本塁打は、大谷が前回登板で史上初めて打ったのに次いで、公式戦史上2本目。ポストシーズンを含めても、昨年の大谷しかいない。登板試合で2試合連続の本塁打は、23年6月9、15日に次いで2度目。3試合以上となれば1900年以降、73年ケン・ブレット(4試合連続)ら4人しかいない。
▼大谷は投手として6回無安打1失点。MLBコムのラングス記者によると、最初の6回以上を無安打に抑えた上で、打者として本塁打を放った選手は15年9月27日アリエッタ(カブス)以来11年ぶり。過去50年間では6人目。
▼大谷は規定投球回未満ながら、防御率は0・82。オープナーを除き、シーズンの先発9試合以上では、自責点が公式記録となった1913年以降では歴代4位となる。
▼大谷は与四球が4。4四球は23年7月4日以来、登板29試合ぶり。死球も1つあり、合計5四死球は23年6月9日の6以来。



