右肘靱帯(じんたい)再建手術から復帰を目指すレッドソックス田沢純一投手(24)が19日(日本時間20日)、約1年ぶりにブルペンで全力投球した。定位置より50センチほど投手寄りに構えた捕手に対して、思い切って20球。最初こそ緊張した面持ちだったが、ワインドアップとセットポジションから10球ずつを痛みなく投げると、満面の笑みを浮かべた。「久しぶりで楽しく投げられました。思っていたよりも普通に投げられたので、ホッとした」。

 昨季の開幕直前に靱帯損傷が見つかり、4月に手術を受けた。再びボールが投げられるのか不安に駆られたこともあったが、傷口から血のにじむほどつらいリハビリを続けながら復活を信じた。キャッチボールを開始した8月まで、地道なトレーニングで過ぎていく毎日に、本当に野球選手なのか分からなくなったこともある。「やっとここまで来られた。やってきたことが無駄じゃなかったって思います」とは、この1年を凝縮した心の声だ。

 硬くなった肩をピッチングに慣らすという課題も見つかった。試合で投げるという最終目標に向け、1歩1歩近づいている。(フォートマイヤーズ=佐藤直子通信員)