【セントピーターズバーグ(米フロリダ州)2日(日本時間3日)=江口和貴】ムネリンが本塁を守る?

 マリナーズ川崎宗則内野手(30)が突然、防具を着用し捕手の練習を開始した。正捕手オリボが1日に故障者リスト入りした緊急事態を受け、ウェッジ監督が「初めに(川崎が)浮かんだ。彼は捕球がうまいし、何でもできる」と第3捕手にサプライズ指名。岩隈久志投手(31)とまさかのバッテリーが誕生する可能性が浮上した。

 ウェッジ監督は大真面目だった。「緊急時の第3捕手が必要。彼なら何でもできるし、頼まれたことは何でもやってくれる。もしもに備えて適性をみたいんだ」とプロテクター、レガーズ姿で試合前練習に登場した川崎に目を細めた。

 4月30日に正捕手オリボが右股関節を負傷し事態が急転した。復帰は6月以降になる見込みで、起用は指名打者(DH)が中心のモンテロ、打撃に難のあるジェイソの2人でカバーするのは厳しい状況にある。マイナーにめぼしい人材も欠いており、ウェッジ監督は「モンテロに代走を送ると捕手は1人だけ。そんな事態は避けたい」と代役探しを急いだ。正遊撃手ライアンも乗り気だったというが、同監督は「彼はリードを楽しんでみたいと言ってきた。それは危険」と却下。「彼の名前が最初に浮かんだ」と川崎に打診した。

 川崎はここまで二、三、遊の3ポジションに起用され、計34回の守備機会で失策0。ユーティリティーぶりを発揮し、「何でもやる」とマイナー契約からはい上がった心意気もあり、「何の問題もない。(心境は)遊撃手をやれと言われた時と一緒」と快諾した。小学生時代には捕手経験があり、三塁側ブルペンではブルペン捕手も務めるダッツ三塁コーチに指導を仰いだ。必死になってショートバウンドを体で止め、75キロの軽量級には危険を伴うブロック動作にも果敢に挑戦。イチローのキャッチボールを見ながら投手をイメージするなど、貪欲に吸収しようとする姿勢に、「彼はプロのアスリート。いい感じでやっている」と同コーチも感心したほどだ。

 ブルペンで投手の球を受ける計画もある。ウェッジ監督は「他の選手を試すかもしれないが、取りあえず様子をみたい。彼が進んで引き受けてくれたのだから私も期待する」と、デビュー初日は合格点を与えた。