米国でとんだ球数騒動が巻き起こった。試合で200球近くを投げた高校球児に対し、レイズのエース左腕デービッド・プライス投手(28)が自身のツイッターで、指導者をやめさせるべきだと示唆。投球数が厳密に管理されている大リーグでも肘を手術する投手が相次いでいることから、米メディアから注目された。

 事の発端は1枚の写真だった。スポーツ専門局ESPNによれば13日、ワシントン州の地区大会でロチェスター高校の先発ディラン・フォスナハト投手が、延長15回途中に降板するまで194球を投げた。フォスナハトはツイッターに「死にそうな2人」と書いて捕手とのツーショットをアップ。これが12年サイ・ヤング賞投手の目に留まった。

 プライスは「君のコーチは首にならなくちゃ」とのメッセージを送信。大リーガーからの突然の“忠告”に対し、球児は「チームが勝つためにプレーしただけ。他のコーチは求めていません」と指導者を擁護した。米国では多くの州が高校生にも投球回制限を設けている。だがワシントン州には「4回以上投げた投手は、次回登板まで中2日以上休まなければならない」以外のルールはないという。

 「肩は消耗品」という考えの米国では異例の騒動だ。昨春センバツで済美・安楽智大投手(3年)が772球を投げた際は、米野球専門誌ベースボール・アメリカが「酷使だ。メジャーの投手なら5~6週間分に相当する球数」と報道。将来的な影響を危ぶむ記事を掲載し、話題になった。

 ロチェスター高校の監督は米紙の取材に「イニングごとに肩の状態を確認した。彼は最後まで投げたがった」と話している。試合は延長17回1-0で勝利。熱血球児は「ひどいとか、ばかげてるという人がいるけど、僕には忘れられない大事な思い出だ」ともつぶやいた。

 勝利に懸ける強い思いは米国でも同じようで、プライスも「尊敬するよ」と返信するしかなかった。

 ◆安楽の投球過多騒動

 昨年センバツで準優勝した済美の2年生エース安楽が、3回戦から5日間で4試合に登板するなど5試合で772球を投げ、国内外で議論を呼んだ。米メディアは「酷使。メジャーの投手なら5~6週間分に相当する球数」「正気の沙汰ではない」と将来的な影響を危惧。ダルビッシュ(レンジャーズ)は「出場選手登録を25人にして、学年別に球数制限がいいかと」と私見を述べた。甲子園では昨年夏から準々決勝翌日に大会初の休養日が設けられた。