<ア優勝シリーズ:レイズ0-2レッドソックス>◇第1戦◇10日(日本時間11日)◇トロピカーナフィールド

 【セントピーターズバーグ(米フロリダ州)=山内崇章、千葉修宏、木崎英夫通信員】レッドソックスが松坂大輔投手(28)の力投で大事な初戦をものにした。レイズとのリーグ優勝決定シリーズ第1戦で8回途中4安打無失点、9奪三振。1回2死満塁の窮地をしのぐと、7回先頭に右前打を許すまで無安打。終盤は岡島、マスターソン、パペルボンが無失点でつなぎ、連覇へ好スタートを切った。

 絶対に落とせない試合だと強く念じ続けた。8回無死一、二塁。連続安打を許して降板した松坂は、ベンチに腰を掛けて一瞬だけ下を向いた。それでも岡島が3番ペーニャを右飛で打ち取ると、最前列に身を乗り出して大声を飛ばした。さらに代わったマスターソンが4番ロンゴリアから併殺を奪うと両方の握りこぶしを突き上げた。マウンドでは見せなかった鬼の形相で雄たけびを上げた。

 松坂

 相手の(先発)シールズが粘り強く、いい投球をしていた。僕も彼のように長いイニングを投げられたらいいと思っていた。

 慎重に入った1回こそ、3四球でピンチを招いたが、最初のヤマを越えると気持ちも体もリズムに乗った。

 松坂

 いつも通り立ち上がりの悪さを露呈してしまった。2回以降は初回であれだけ(27球)汗をかいたのでスッキリ投げられた。

 7回先頭のクロフォードに右前打を許すまで無安打。続くフロイドに左前打を浴び一、三塁とされたが、窮地に立ってから強かった。技術度外視、勝ちたい執念が球に乗り移った。

 松坂

 味方の守備を見たとき、1点をあげてもいいという(二塁併殺狙いの)隊形でしたが、僕は絶対に1点もやらないと思った。

 続く左打者2人への勝負球は、今年1番の武器に仕上げたシュートを選んだ。7番ナバロを外角低めで浅い左飛。8番グロスへは、外のボールゾーンへ鋭く動かした。空振り三振。「最初の打者を思うように打ち取ってからは楽に投げられた」。9番バートレットは遊ゴロ。好調レイズ打線の出ばなをくじいた。

 体は悲鳴を上げていた。プロ入りから10年、松坂の体を守り続けた前田トレーナーは、前日のマッサージで今年1度も見つからなかった筋肉の硬さを感じた。3月25日の東京開幕から数えて31試合目。疲労は頂点に達していた。「気持ちだけは突っ張ってほしい、あとは意地だけだ」と信じた前田氏は、下り坂の現状を本人には押し黙って送り出した。汗を滴らせ、懸命に2時間もみほぐしたトレーナーの誠意にも応えた。

 4つ勝てばいい短期決戦の初戦を制した。勢いと技術力がアップした新興レイズを力でねじ伏せた。松坂が生んだ1勝は、連覇を目指すレッドソックスに大きな希望をもたらした。