<ワールドシリーズ:フィリーズ5-4レイズ>◇第3戦◇25日(日本時間26日)◇シチズンズバンクパーク

 【フィラデルフィア(米ペンシルベニア州)】フィリーズが「2日越し」でサヨナラ勝ちを収め、対戦成績を2勝1敗とリードした。4-4の同点で迎えた9回裏無死満塁、8番カルロス・ルイス捕手(29)が放った三塁内野安打が、フ軍にとって3戦目で初の適時打となった。レイズ岩村明憲内野手(29)は4打数無安打に終わった。25日は降雨のため、午後10時6分(米国東部時間)に試合開始。終了は日付が変わった26日午前1時47分だった。なお、第4戦は同日の午後8時半から行われる。

 どんな当たりでも良かった。4-4の同点で迎えた9回裏無死満塁。フィリーズ待望の決勝打は、8番ルイスの三塁前へ転がるボテボテの「快打」だった。この場面、土俵際のレイズは、満塁策の上に外野を2人にして内野5人の守備隊形を選択。打席へ向かうルイスの頭に、内野ゴロはなかった。

 だが、詰まった打球は転がった。ただ、降雨で多量の湿気を含んだ芝生の影響もあり、打球の勢いがそがれたことも幸いした。三塁走者が生還し、ゲームセット。「本当は内野を越したいと思っていた。それはできなかったけど、勝てたから良かったよ」。フ軍打線にとって、3戦目、27イニング、得点圏では延べ33打席目にして初の適時打がサヨナラ打。2回裏にも本塁打を放ったラッキーボーイは、報道陣に取り囲まれ、照れくさそうに笑った。

 何かが起こりそうな雰囲気だった。この日のフィラデルフィア地方は予報通り、終日雨模様。気まぐれな風が断続的に吹き荒れ、試合の決行すら危ぶまれた。結局、定刻より1時間31分遅れで、Wシリーズ史上もっとも遅い午後10時6分にプレーボール。2日越しになることは確実だった。しかもフ軍は6回裏、3番アットリー、4番ハワードの連続アーチで突き放しながら、終盤に失策絡みで1度は同点に追い付かれるなど、不穏な空気が漂っていた。

 だが、そんな嫌な流れも、サヨナラ勝ちで吹き飛んだ。出番こそなかったものの、入念に準備していた田口は、冷静に言った。「これもきっかけのひとつ。(サヨナラ打の前の)死球や暴投にしても、ちょっとずつきっかけをつかんでいけていると思います」。

 本拠地での第3戦を制して、再び1歩リードした。「ここまではいいね。接戦続きで、どちらが勝ってもおかしくない試合ばかりのすばらしいシリーズ。“明日”も勝って、シリーズをものにしたいね」。試合終了は午前1時47分。赤鬼ことマニエル監督が、日付が変わったことを失念するほど、大きな白星だった。【四竈衛】