打たせない。西武菊池雄星投手(25)が6回被安打3、無失点の好投で今季4勝目を挙げた。立ち上がりはフォームのバランスを崩し、制球を乱したが、すぐに修正。最速154キロの速球と、144キロのスライダーで相手打線をねじ伏せ、開幕以来のチームのオリックス戦連敗を5で止めた。被打率は12球団トップの1割4分2厘。過去のシーズン被打率ベスト10に名を残す沢村栄治、スタルヒンらを超えトップの景浦将に迫る驚異的な数字だ。「打たれないエース」が引き寄せた流れに乗り、打線も今季最多の17安打で11-0と大勝した。

 流れは力で引き寄せる。4回2死。菊池は2球でオリックス中島を追い込むと、この日最速154キロ直球を内角いっぱいに決めた。「試合にはターニングポイントがある。中島さんは尊敬すべきすごい打者。相手の4、5、6番を乗せてはいけないと、試合前のミーティングでも話があった」。完璧な投球で相手を沈黙させると、5回表には秋山、源田の連打から浅村の3ラン。試合が決まった。

 貫禄の投球。しかし、立ち上がりはよくなかった。初回。頭が本塁方向に突っ込みすぎる悪癖が出て、球が暴れた。直球が浮き、スライダーも決まらない。しかし、エースはあわてなかった。「ここ数試合、序盤からすべての球種でストライクが取れていたけど、そんなのは年に何試合かだけだと思っていました」。冷静に、自分のフォームを見つめ直した。

 軸足1本でしっかりと立ってから、投げにいく。2回が終わるころには、フォームのバランスが整った。バロメーターはスライダーのスピード。「フォームのバランスがいいと、自然とスピードが出る」。3回には144キロに達していた。