西武内海哲也投手(36)がパ・リーグ仕様の新型カットを導入する。宮崎・南郷春季キャンプ初日の1日、一番乗りでブルペンに入り、首脳陣の前で40球。直球とカーブをコースに投げ分け「元気いっぱいでやれた。2月後半に結果を残せるようにしたい」。実戦を見据える胸の内には「カットを試したい。投球の幅が広がるので挑戦する」と策を携えていた。

封印していたボールが、思いがけない形で再浮上していた。鹿児島・奄美大島での自主トレで巨人今村から「カットを教えてください」と頼まれた。投げてみると「いい感じで横に曲がったんですよ」と意外なほど変化。もともと17年まで使っていたが、広島戦で痛打され徐々に頻度は低下。「12月に遊びで投げていて、それがうまくはまったかも。(以前と)少し握りも違う」と新球種の可能性を秘めて戻ってきた。

「キレのある真っすぐがあっての変化球」という考えのもと、この日のブルペンも75%が直球。その上でパ・リーグの舞台に向けて「(パの打者は)すべての球種にフルスイングしてくるイメージがある。ちょっとだけ芯を外して打ち取れたらいい」とカットの生かし方を思い描く。第2クールからブルペンで試しながら精度を高めていく。

緊張の初日は、チーム便よりも1人、1時間早く球場入り。しかし、ゴロ捕球で取りこぼしを連発する一幕に、若手投手からいじられたことで気持ちがやわらいだ。「いじっていただきありがたい」。16年目のチーム最年長“ルーキー”は謙虚に進化を続ける。【栗田成芳】