もう帰ってきた! グリーンカード(米国永住権)更新のため5日に一時渡米していた中日松坂大輔投手(38)が8日、沖縄・北谷キャンプに再合流した。

事前に組んだ弾丸スケジュール通りで、現地滞在は1日足らず。眠い目をこすってさっそく汗を流した。調整への影響を心配する与田剛監督(53)も一安心。主力投手としてフル稼働する意気込みを、松坂が行動で示した。

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午後1時、送迎ワゴンが球場前に滑り込んできた。降りてきた選手が誰か気付いたファンは、驚きの声をあげた。球団が松坂の渡米を発表したのは、ほんの3日前。飛行機を乗り継ぎ、驚異的な早さで、松坂が北谷に戻ってきた。

4日の昼まで練習し、東京経由で5日に離日。米国西海岸ではたったの1泊。24時間未満の滞在でグリーンカード更新の手続きを済ませ、最短で乗れる航空機に飛び乗った。滞在時間より往復のフライト時間の方が長い計算だ。球団はスケジューリングに関わっておらず、松坂が望んで過酷すぎる旅程を組んだ。

室内で1人、ダッシュやキャッチボールを入念に行った。「眠いです」「ふらふらです」と苦笑いしながら、精力的に動いた。その姿をじっと見守った与田監督は「焦るなよ」と声を掛け、約10分間話し込んだ。フォーム修正の話が主で、今後の予定については話さなかった。

自宅が米国にある松坂は15年のソフトバンク入団後に家族と離れ、“単身赴任”が続く。今回の更新は当局から指定された日取りで、本人が米国内で手続きしなければならず、避けて通れないプロセスだった。

渡米時には「プラスではない」と調整遅れを心配していた指揮官だが「急いで帰ってきてくれた。表情がよかった。体はきついと思うけどね。シーズンは始まっていないし、遅れたという判断はしていない。143試合でどうチームで戦うかと考えているから。焦らせないようにしないと」とホッと一安心だ。

「(時差ぼけは)大丈夫です。明日からまた頑張ります」と松坂。9日から通常メニューに戻る予定だ。キャンプ地を離れたのはちょうど丸4日。キャンプ休日もはさんだため、抜けた「穴」は最小限で済んだ。中日2年目はローテ投手として期待される。強い決意を示す強行軍だった。【柏原誠】

◆グリーンカード 移民ビザ。永住権と訳される。米国で就労、就学するにはビザが必要で、そのうち永住希望者は移民ビザを申請する。取得すれば出入国、滞在期限、職業などの制限がなくなる。取得資格は厳しく一般には抽選を経るケースが多いが、米国で労働実績があれば通りやすい。

<松坂の動き>

◆4日午後 沖縄を離れる

◆5日 東京から米国に出発

◆現地時間5日(日本時間6日)米国西海岸に到着

◆現地1泊

◆現地時間6日(日本時間7日)日本に向けて出発

◆7日午後 東京到着

◆8日午前 沖縄到着