楽天の銀次内野手(30)は、久米島キャンプ“スイング王”だ。8日も一番乗りで球場に到着し、全体練習後には特打に加えて居残り打撃。「長く(現役を)やるため。20年連続出場を狙いたい。あと11年? 今も野球がうまくなりたいと思っているし、1日も無駄に出来ない」。岩手県出身で、地元球団に06年入団。10年6月の初出場初先発以降、自己最多5本塁打を放った昨季まで9年連続出場。東北人としてはチーム初の10年連続出場に向け「全試合に出て、日本一」と向上心をみなぎらせた。

久米島では午後5時半に「カラスなぜ鳴くの~」の歌に加え、「良い子はお家へ帰る時間です。うがい手洗いをして家庭学習を始めましょう」の島内放送が流れる。だが、銀次の“打撃学習”は終わらない。この日も全選手中、最後まで振り続けた。「体、バット、ボールへのコンタクトが、すべてうまくいって良いバッティングになる。1つでも崩れてはダメ。良いキャンプが出来ている」と充実感に満ちている。

今季は浅村栄斗内野手(28)の加入や、若手の成長により、定位置争いは激化した。14年にベストナインを獲得した三塁手にも再挑戦。「足を動かさないと送球も届かないですし、サードを守ることはバッティングにもつながる」と楽しんでいる。平石洋介監督(38)も「チャンスに何とかしてくれる打者としては上に来る存在。争いはあるが、意気込みが伝わってくる」と期待。チーム生え抜き初の1000本安打達成まで残り61本と迫る男が、必死に定位置を奪いにいく。【鎌田直秀】