楽天オコエ瑠偉外野手(21)が、レギュラー取りへ美しい放物線を描いた。

14日、チームの今季初実戦となる阪神との練習試合(宜野座)に途中出場すると、8回に左翼席へソロ本塁打。オフから取り組む、フラフープをヒントにした新打法の詳細は「活躍するまで話さない」姿勢を貫き、愚直なアピールを続けていく。

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内寄り高めの140キロを、オコエはこまのような回転ではじき返した。5・9秒もの滞空時間を経て左翼席に優しくポトリ。一見するとレフトフライも、本人の見立ては違った。「いい角度だったし、打球速(度)もいっていた。打った瞬間って感じでした」。本塁打を含めて最も安打になりやすいとされる時速158キロ以上、角度が30度前後の「バレルゾーン」に収まった確信があった。

オフは動作解析の専門家に師事。「(スイングの)ラインを一番イメージしやすい」というフラフープを手に、好打者の共通項を体にすり込んできた。求めたのは、バレルゾーンに打つためのアプローチ。「柵越え何発とか何連発とか、何とも思ってないんです。本塁打を打つために角度を上げているわけじゃない。そのゾーンが、安打になる確率が高いからやっている」。久米島キャンプ中の6日、ランチ特打で柵越えを量産した時の言葉が、足という自分の武器を生かすための取り組みを裏付ける。

新打法の詳細を語らない姿勢にも、1本の芯が通っている。「今、自分が『塩対応』みたいに言われてるかもしれないですけど…自分が今やってることに反対する人もいるかもしれない。だったら結果を出して、認めてもらえてから話そう、と」。ぶれない決意の裏返しでもある。

平石監督は「いい面も悪い面も両方出た」と、7回に中堅からのバックホームが高く浮いて打者走者の二塁進塁を許した場面を指摘した。オコエもまた、鮮烈な印象を残した第2打席にうなずきつつ、外へ逃げる変化球を力なく打ち上げた第1打席の反省を忘れなかった。派手な1発が、楽天外野陣の激しいサバイバルを本格化させる。【亀山泰宏】