2年連続のセンバツ優勝投手も開幕弾だ。中日のドラフト1位根尾昂内野手(18=大阪桐蔭)が23日、巨人との2軍交流戦(ジャイアンツ)でプロ初本塁打を放った。先頭打者として迎えた6回、巨人野上の直球を豪快なライナーで左翼スタンドへ放り込んだ。昨年、センバツ史上初の2年連続優勝投手となったゴールデンルーキーが、球児の春到来と歩調を合わせるように輝きを放ち始めた。

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やっぱり根尾が輝くのはセンバツの季節だ。6回無死走者なし。カウント1ー2と追い込まれてからもフルスイングは変わらなかった。右足を大きく上げ、野上の外角高め139キロをドンピシャでたたいた。打球は逆方向にライナーで伸び、失速する気配をまとわない。左翼手重信もフェンス直前でぼうぜんと見上げる勢いで、防球ネットに突き刺さった。痛烈なソロに「少し甘かったですね。来た球にしっかり反応して捉えられました。打った後は『伸びてくれ』と思いました」とうなずいた。

対応力が光った。直前の第2打席、野上の直球に押し込まれた。外寄りの138キロに力のない遊飛に打ち取られ「自分の間合いでスイングができなかった」。6回の打席では初球から強振して間合いをつかみ、仕留めた。1軍経験豊富な投手から、ジャイアンツ球場でめったにお目にかかれない軌道で刻んだ節目。「タイミングの問題で(修正に)3打席までかかってしまった」と言ってのけた。

王者の経験が精神力の強さにつながっている。試合前の2軍公式戦5試合では22打数2安打も「毎打席、毎球、打ちにいっている。考えを持って1球ずつやろうと思っているので」と焦りはなかった。胸には「一戦必勝の思いみたいのは、高校の時からずっと同じです」との思いがある。目の前の課題を1つずつ飛び越えてこそ、頂点が見えると知っている。

感想を問われ「うれしいですけど、やった! という感じではないですね(笑い)」と一瞬だけ喜びに浸った。センバツの話題を振られると「星稜と履正社はどうなりました?」と逆取材。聖地で躍動して1年、2軍のグラウンドで力を蓄えている春。プロで芽吹く時は少し先でも、再び根尾の季節がやってくる。【島根純】

▽巨人野上(根尾に本塁打を浴び)「いいバッター。ツボを持っている。似ているのは(西武の森)友哉じゃないかな。スイングも速いし。外の打ち方とかが似ている」