ソフトバンク小久保裕紀内野手(37)が「マッチョ弾」を放った。15日、シート打撃で新外国人のファルケンボーグ投手から、左翼席へ「今季1号本塁打」をマーク。今季、パワーアップのため体重90キロへの増量とそのキープに全力を注ぐチーム最年長スラッガーが、自ら「抑え気味」というペースの中、豪快アーチで増量効果を証明してみせた。
フルパワーでなくても、ボールは飛んでいた。小久保を象徴する、バットを高々と放り上げる「V字打法」のフィニッシュではなかった。新助っ人ファルケンボーグの失投を見逃さず、真ん中に入ってきたフォークボールをコンパクトに振り抜いた。打った瞬間にそれと分かる本塁打。左翼席最深部への推定130メートル弾に「真ん中だからね。打たないとね。でも、体を大きくしてきたのがマイナスではないというのが分かったよ。昨年より7キロくらい違う」。体重90キロ。自身初の大台でキャンプイン。一回り太くなった両腕には、今季取り組んだ増量の収穫がしっかりと感触として残っていたはずだ。
今年10月で38歳とチーム最年長。入団当時、春季キャンプでは連日の居残り特打が日課だった。だが、今では基本的に1日おきのペースで特打を行う。「キャンプはまず完走がテーマ。抑え気味ですよ」と言う。通算366本塁打の小久保といえども、体と相談しながら練習を重ねる年齢に入ってきた。そういう状況でのビッグ化に踏み切った。パワーアップの半面、同時に生まれる課題も承知している。「前のクールくらいから、打撃の感じはよくなってきた。でもまだ、真っすぐに差し込まれている。あとは体の切れをいかに出していくか」。練習後には1人黙々と外野フェンス沿いをランニングする姿があった。
豪快な「今季1号」には、スタンドの観衆からも大きな拍手がわき起こった。この日、キャンプ地に訪れたのは3万3000人。「今日は本当にファンが多かったね。ありがたいことですよ」。昨季は最下位。主将として人一倍、巻き返しへの思いが強い。シートノックではこの日まで練習参加していた城島にヤジを飛ばし、球場全体を盛り上げた。「俺くらいでしょ。城島健司って言えるのは(『ヤジを飛ばせるのは』の意)」。バットだけでなく、行動で、声で、チームを再生させようとしている。
主砲の順調な調整ぶりには、秋山監督も笑みをこぼした。「小久保は(練習から)いい感じでとらえているよな。存在感があるよ」。昨年20本塁打に終わった背番号「9」が、今年は名実ともに大きく見える。【松井周治】
[2009年2月16日10時58分
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