今夏の都市対抗野球優勝チームには、20年東京五輪での競技復活に向けた、大きな役割が加わることになった。社会人野球の祭典、都市対抗野球(7月18日から12日間、東京ドーム)優勝チームが、フランス・パリに遠征し、フランス、オランダ、ベルギーの4カ国で対戦する「第1回フランス国際野球大会(仮称)」に参加することが20日、分かった。

 大会日程は9月6日から9日の予定で、パリ郊外の野球場を使用する。優勝チームがフランス遠征を行うことは内定していたが、日本側の尽力で、強豪オランダも参加する大会形式に“昇格”。初の試みに、日本野球連盟・鈴木義信副会長(70)は「ヨーロッパに野球を普及させることで、オリンピック復活の足掛かりにしていきたい」と説明した。

 東京五輪開催が決まった昨年9月、野球・ソフトボールは実施競技から落選した。理由の1つに挙げられたのが、ヨーロッパでの認知度の低さだった。パリで大会を開催すれば、現地のIOC委員が視察に訪れる可能性は十分。12月のIOC臨時総会で競技復活が実現する可能性が高まっている中で、大きなアピールになりそうだ。

 第85回の記念大会となる都市対抗野球は、社会人野球を題材とした人気ドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」とコラボレーションしたポスターを製作するなど、PRを続ける。野球も人生も「逆転」がテーマのドラマと同じく、東京五輪で野球・ソフトボールが“逆転”復活となれば最高だ。

 ◆野球・ソフトボール五輪復活への動き

 国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は、20年東京五輪で競技追加の可能性を示唆。昨年11月の来日時に「個人的にはより柔軟性を持ってもいい」。同12月には今年12月にモナコで臨時総会を開く意向を明らかにし、東京五輪での実施に「チャンスがある」と語った。今月10~11日には、チュニジアで世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が設立総会を行った。