WBO女子世界アトム級王者の岩川美花(38=姫路木下)が、25日に東京・後楽園ホールで2度目の防衛戦に臨む。
20年9月の初防衛戦で2-1判定勝ちした鈴木菜々江(29=シュウ)との再戦。当初は昨年10月15日に予定されていたが、岩川が右肩の「腱板(けんばん)損傷」のため、試合は延期となった。当初は右肩を上げられない状況で、今後の選手生命も危ぶまれていた。
そんな厳しい状況をへて、必死の努力で試合を迎える。ピリピリしているであろう直前でどうかと思ったが、久しぶりに声を聞きたく電話取材を試みた。いつもの明るく元気な岩川選手の声が返ってきた。
「けがは予測できないものなので仕方がない」と言いつつ、王者として試合が流れた事実、試合に向けて必死の調整をしてきた挑戦者への気遣いが胸に引っかかってきた。それだけに正式に試合が決まったことに喜びがある。「もう2度とリングに立てないかもしれないとも思った。鈴木選手と思い切り戦いたい」と強い口調で言った。
ただ、右肩のけがは完治しない。完全に治すには、体のいずこの腱(けん)を移植する大手術が必要になるが、岩川は痛みと付き合うことを決意した。その中で「けがの功名じゃないですけど」と新たな発見もあったという。
「今までは右を大きく振り回していた。それじゃ痛いんで、直線的に数多いパンチに変えてみました。それで分かったことなんですが、振り回すパンチは効かない。細かく繰り出すパンチの方が有効だと、やってみて分かりました」
おのれの体ひとつで殴り合うボクシングは、例えようもない過酷な競技は間違いない。万全でも厳しいが、不安要素があってもリングに上がる。そのマイナス要素をプラスに変えるメンタルの強さが頼もしい。
昨年、試合の延期が決まった時、対戦相手の鈴木に「ほんまにすんません」と平謝りだった。その思いを全力で返す。「思い切り戦いたい。そして勝ちます」。王者・岩川にとって、失ったものを倍にして取り返す戦いとなる。【実藤健一】


