だれからも支持されないが個人的に推している。KWORLD3ジムにトレーナーとして加入した元世界王者のファン・ランダエタ氏(44)のことだ。

個人的にお笑い大好き。昨年のキングオブコントも見た。優勝したビスケットブラザーズは素晴らしかった。そして準優勝だったコットンというコンビを初めて知った。その1人、きょんがKWORLD3ジムにいるじゃないか、と大興奮してしまった。くりそつ(=そっくり)ですねと、本人にきょんの画像を見せるなど大はしゃぎしたが、ランダエタ氏はただただ苦笑い。だれからも賛同を得ることはなかった。

ボクシング興行「3150FIGHT」を手がける元世界3階級制覇王者・亀田興毅ファウンダー(36)が、初めてベルトを獲得したWBA世界ライトフライ級王座決定戦の対戦相手。ベネズエラ人ボクサーの技術力の高さを肌で知る興毅氏がトレーナーに招いた。

すべてのスポーツにおいて、教えを受ける環境が競技に与える影響は計り知れない。その上で、ランダエタ氏は大きな存在感をもたらしているという。同ジムの大毅会長(33)は「技術的なことは説得力がある。世界までいったテクニシャンだし、中南米で指導者としてのキャリアもある。選手の(技術力の)底上げに間違いなくつながっている」と大きな信頼を寄せる。

その効果は今後、より鮮明に出てくると期待する。大毅会長は「やはりまだコミュニケーションの部分で問題がある。言葉の弊害はあっても、伝えたいことが伝わるようになると思っている。だから、これからもっとよくなると思いますよ」と断言した。

ランダエタ氏は家族と離れ、日本で1人暮らし。ジムが借り上げた3LDKの部屋で、遠征のボクサーが利用するなどの以外は悠々と楽しく生活しているという。ただ、目標はもちろん日本で成功し、家族を呼び寄せる1点しかない。

同ジムからランダエタ氏が育てる世界王者か、コットンのきょんがタイトルを獲得するのが先か。だれも興味を示さない中で、ひそかに楽しんでいる。【実藤健一】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)